大きな権限、大きな分類

2015年09月29日 11:30

年金基金等の資産運用では、一般に、運用基本方針、政策アセットミックス、マネジャストラクチャという三つの階層をもっている。


運用基本方針は、読んで字のごとくである。政策アセットミックスは、資産配分のことである。マネジャストラクチャとは、マネジャ、即ち、運用を委託している運用会社に対して、どこまでの権限を委譲するかという決定である。

例えば、ある年金基金の外国株式の運用の事例では、「国際分散投資」と「地域特化」という二つの種別をおいている。

「国際分散投資」のほうは、国別・地域別分散等の下位の決定を運用会社(マネジャ)に委譲した委託形態で、「地域特化」のほうは、国別・地域別分散等の下位の決定も年金基金が下した上で、各地域専門の運用会社に委託しているものである。おそらくは、「地域特化」のほうは、特殊性の強いもの、例えば、エマージング株式、米国中小型株などに重点を置いているのであろう。

こうした年金基金の投資の仕組みは、論理的には、国内株式と外国株式の配分決定が政策アセットミックスの階層、即ち、年金基金自身のもとにあり、外国株式のなかの地域別配分が、マネジャストラクチャのなかの「国際分散投資」の階層にあるという構造になっているのである。

「地域特化」への資産配分の意思決定、例えば、エマージング株式への資産配分は、年金基金自身によってなされているのだが、それは、政策アセットミックスの階層にはないし、マネジャストラクチャの階層にもない。

では、「エマージング地域特化の株式運用会社の選択」にかかわる決定権限は、どこにあるのか。論理的には、年金基金の内部組織における権限の委譲関係のなかにあるはずである。

分類は意思決定のガバナンスである。分類は、論理的・系統的に、大きな分類から、小さな分類へ降りていくものである。意思決定というのは、論理的・系統的に、大きな決定から、小さな決定へ降りていくものである。この二つのことは平行している。だから、分類はガバナンスなのである。

分類の上位は、大きな投資領域を意味し、したがって大きな権限を意味する。分類の下位は、小さな投資領域を意味し、したがって小さな権限を意味する。大きな権限は、組織の上位に属し、小さな権限は、組織の下位へ委譲される。これは、投資の、というよりも、社会組織の常識である。

ところで、「大きな投資領域」とは、必ずしも、時価総額のような物理的な大きさを意味するのではない。理論的には、分散投資の効果への寄与度の大きさを意味するはずである。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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