習近平国家主席はなぜあれだけ胸を張れるのか?

2015年09月29日 10:37

米中首脳会談は予想通りほとんど成果がない形で推移しました。私は今回の習近平国家主席の訪米の目的は「存在感」の誇示であってアメリカと一定の和解なり折衷なり価値ある共同声明なりをするつもりは全くなかったと考えていました。事実そのように展開したわけです。

それでもアメリカがぐっとこらえているのは中国という国土、人口、政治力などそのサイズを無視できないからであり、今、力で押し切れるものではないからであります。例えばこれがもっと小国であれば経済制裁をすぐに実施し、身動きが取れない状態にします。仲直りしたイランではその日、国中が歓喜の渦となっていました。同じことはキューバも言えるでしょう。長い制裁で「近くにある遠い隣国」の関係を維持してきた同国にとってアメリカとの国交回復は極めて大きな支援材料となるのです。今だ制裁を受け続けるロシア、北朝鮮などは厳しい状況を余儀なくさせられています。

戦前の日本への制裁も含め、アメリカが制裁を実施している国、した国はそのパワーで圧倒的に相手国を抑えることが出来るという比較優位の立場に立っています。その多くは経済力であるという点に注目したいと思います。

日本は戦前、モノを海外から購入することがほぼ不可能になりました。それ故、戦後直後、日本の食料自給率は実に100%になっています。これは日本が敗戦を選択した背景の一つともいえます。つまり国民生活と経済活動の疲弊であります。今、イランがアメリカとの核を取り巻く合意に至ったのは石油を輸出できず、国内経済が疲弊したからです。あのプーチン大統領をウクライナ問題でグッと締め付けることが出来たのはロシアは経済が下降気味だった上に1億4000万人強の国家規模で厳しい気象条件の国だったからです。食料を始め、外国からのモノに頼らなくてはならないゆえにアメリカには比較優位があると判断したからでありましょう。

国家と国家の争いの原因はある日突然始まるのではありません。争いの原因に対して双方が努力しても譲歩できず、物理的な紛争を具現化しても致し方ないところまで行き着いた結果です。多くは宗教的背景やイデオロギーでしょうか?そしてその制裁の手段はかつては武力でしたが今はもっと効果のある経済制裁が主力となっています。なぜなら経済制裁は武力行使よりもっと広くその国家全般に影響が行き渡るため考え方次第では軍人と軍人の争いである戦争よりたちが悪いとも言えるのです。

そのような背景を考えると米中首脳会議がなぜ、平行線で終わったのかお分かりいただけると思います。アメリカはどれだけ外交を通じて相手国家を愚弄してもiPhoneを売り、スターバックスやマクドナルドが展開される中国に経済制裁など恐れ多くてできないのであります。つまり、比較優位の立場に立っていないのであります。

ではかつての二大大国の関係、ソ連とアメリカの場合はどうだったのでしょうか?世界を二大陣営に分け、双方の経済関係が疎遠になっても双方陣営は譲らない状況を長く続けることが出来ました。理由は、極論すれば当時は地球が二大陣営により半分の経済規模であっても十分やっていけたからです。ところがグローバル化が進み、地球規模の経済がメジャメントとなった以上、人口3億人で18兆ドル近いGDPのアメリカにおいて世界人口の18%を占める中国とはどうしても喧嘩できない関係になったと言えるのです。

両国間にとって戦争も出来ない、経済制裁も出来ない、だけどイデオロギーも違う中で双方が帰着点を見出すのは難しいでしょう。どちらかが経済的に失速するか、クーデターなりの内政問題が起きるなど自国の内部崩壊がない限り厳しいと思います。

しかし、VWがつまづいただけでドイツ経済云々ということすら言われるぐらいですから世の中、何が起きるか分かりません。少なくとも米中という大国に挟まれた日本がその存在感をどう高めるか、戦略的にそして、賢くその道を選んでいかねばならないでしょう。日本が日本としての明白なるポリシーをきちんと外に発信しないと両国間に埋没することになってしまいます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 9月29日付より

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