10月FOMC、エコノミストはこう読む --- 安田 佐和子

2015年10月27日 11:47

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10月27-28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ご承知の通り利上げ開始はおろか声明文においても大きな変化は予想されていません。問題は、声明文で年内利上げスタンスを維持するのかどうか。そうはいっても、Fedがサービス精神旺盛にヒントを与えてくれるとは考えられず。声明文の行間を読むしかなさそうですね。以下は、エコノミストの予想です。

▽JPモルガン、マイケル・フェローリ米主席エコノミスト

経済・金利見通しやイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を予定せず、今回もFF金利誘導目標を据え置く公算である。特に失望を誘う米9月雇用統計の後では、なおさらだ。重要なポイントは、将来的な政策意図を示唆するか否か。イエレンFRB議長は12月の利上げ開始あるいは年内見送りを示唆するより、経済指標が強含んだ場合に市場が12月利上げ開始を織り込み、逆のケースで年明け利上げ開始を織り込んでくれば声明文として成功とみなすのではないか。

声明文での景況判断では、1)労働市場への見解、2)「世界経済およびグローバル金融動向」への評価、3)労働市場見通しにおける「幾分の改善」が利上げ開始の条件となるか――がカギとなろう。労働市場については、同じく直前の米雇用統計が弱含んだ4月FOMC声明文にある「雇用の伸びは緩やかとなり、失業率は依然として安定的だ」を踏襲してくると見込む。「世界経済およびグローバル金融動向」については、環境の改善を受けトーンを和らげる可能性を残すも、前回挿入したばかりで取り除くことはないだろう。最後に労働市場における「幾分の改善」をめぐっては、据え置く見通し。7月FOMC声明文に同文言が加わってから、確かに50万人に近い雇用が創出され失業率も0.2%ポイント改善したものの、変更は誤解を与えかねない。前回に続き、リッチモンド連銀のラッカー総裁は利上げ開始を求め反対票を投じるだろう。

当方は、12月利上げ開始の予想を据え置く。欧州中央銀行(ECB)の追加緩和示唆中国人民銀行による追加利下げは世界的な需要を喚起するため、利上げ開始を促進しうる。過去を振り返ると、ECBの量的緩和(QE)発表後に開催した今年1月FOMC議事録の海外経済動向にて、「米国の成長リスクを低減させる」と見解を表明していた。各国中銀の政策より米経済の重要指標こそFedの政策決定において重要で、12月FOMCでは10月分と11月分の米雇用統計を確認できることに留意しておきたい。

▽モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー米主席エコノミスト

10月分のベージュブックのうちポジティブからネガティブを差し引いたディフュージョン・インデックスは、9月分から20ポイント低下していた。12地区連銀別では8地区連銀で低下し、特にエネルギー産業の比重が大きい連銀で目立つ。エマージング国は中国7-9月期GDPが示す通り回復がみられる半面、米経済は上半期こそ力強い個人消費を支えに最終需要が3.6%増だったところ、7-9月期は純輸出や在庫投資が重しとなり最終需要を少なくとも1.7%ポイント押し下げよう。インフレは、ドル高に加え中国からのデフレ圧力を背景に低迷したままだ。5年先5年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も極めて低い水準であり、認9月29日には1.63%まで低下した。足元で1.70%まで回復しているが、依然として9月FOMC直前の平均値を13bp上回る。FOMCは、インフレ見通しリスクへの警戒を維持してくるだろう。

5年物BEI、低空飛行を継続。
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(出所:Morgan Stanley)

9月FOMCでは、17人のFOMC参加者のうち13名が年内利上げを適正と判断しイエレンFRB議長は自らその一人と明らかにした。しかしながら、イエレンFRB議長の側近にあたるブレイナードFRB理事やタルーロFRB理事は明確に反対を唱え始めた。イエレンFRB議長は12月3日の議会証言などで、年内利上げ路線を明確に打ち出すのか、曖昧な姿勢を打ち出すのか、NY連銀のダドリー総裁のような慎重姿勢を示すかが問題だ。仮に後者であれば、利上げは逸したと考えられガイダンスに注意深くあらねばならない。現状はダドリ―NY連銀総裁が指摘するように、利上げ開始をめぐっては経済指標を確認していく必要があるだろう。当方は、12月利上げ予想を維持する。

(カバー写真:Elvert Barnes/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年10月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。


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