中国が作り出す世界のブロック化

2015年11月03日 10:09

習近平国家主席がアメリカ訪問の際、オバマ大統領との確執が決定的になったことは一部の報道にある通りです。「話せばきっとわかってもらえる」、これがオバマ流外交手段でありました。ところが、中東政策もウクライナでも失敗し、今度こそと思い、中国の南シナ海での「やんちゃ」を止めさせるために、習主席に「対話しようよ」と持ち掛けましたが袖にされてしまいました。

今、アメリカ海軍が南シナ海の人工島の12カイリ内で哨戒活動を行うのはこの会談に怒ったオバマ大統領の即断だとされます。正直言いましてオバマ大統領は人がよすぎというか、性善説というか、自分の会話能力に過信しすぎというか、ブレーンの能力が欠如しているというか、判断のタイミングが遅すぎるというか、上げたらキリがないのですが、一言で言うと外交は本当にダメであります。

目を転じ、欧州と中国の関係を考えてみましょう。中国人の海外旅行ブームのきっかけとなる行先は日本でも韓国でもアメリカでもありません。ヨーロッパでありました。

中国の自動車市場をもともと席巻していたのはフォルクスワーゲンのサンタナでした。私が学生の頃、日本でも一時期流行ったのですが、すぐになくなりました。ところが、中国ではそのモデルが延々とベストセラーとして君臨し、フォルクスワーゲンの中国での地位が確保された礎であります。

そして昨年、AIIB設立を目指した中国に異例の賛同をしたのはイギリスであり、その後、欧州諸国はなし崩し的にAIIBへの参加を表明しました。欧州と中国の知らぬ間の蜜月が結実した瞬間であります。中国は更に欧州寄りのIMFへ働きかけをします。IMFのSDR(特別引き出し権)に中国元を加えてもらうよう積極攻勢に出たのです。SDRに入ったところでどうなるのか、という、見方はありますが、いわゆる流通性のある代表的通貨としてのお墨付きをもらうようなものですから、この効果はじわっと効いてくるはずです。

それはアジアでは唯一のSDR採用通貨だった円とのシェアの食い合いが起きることも意味し、円の国際化に大きなハードルが出来てしまうのです。言い過ぎかもしれませんが、円がローカル カレンシーになることも絶対にないとは言い切れないのです。これは言わずもがな、中国から見る日本の頭を抑え込む形となり、中華思想的にも笑いが止まらないことになってしまいます。

まだあります。ユネスコは南京大虐殺を記憶遺産に登録していますが、なぜだろう、なぜ、このタイミングだろう、と考えると習近平国家主席は、近衛文麿風に言わせてもらうと、「中国政府は爾後ニッポン政府を相手にせず」で、地球儀ベースで世界を震撼させるだけのパワーを身に着けてしまったようにも見えるのです。正に膨張する習近平が加速度を増した、とも言えるのです。(あえて習近平国家主席とするのは中国が力をつけたのではなく、習氏の力量に頼るところが大きすぎるという意であります。)

これは何を意味するかといえば、中国を「たんこぶ」とする日米連合を疎外化し、中国にすり寄るロシア、欧州、オーストラリアなどと新たなる連合国家体制を築き上げ、中華思想の完成を目指しているように思えます。

以前、このブログでTPPが発効することにより世界地図は大西洋の時代から太平洋の時代になると申し上げました。その点に於いては中国には非常に都合が良かったはずです。なぜなら、大西洋を通じたアメリカとイギリスの関係が希薄になってしまい、両国関係の分断化にはもってこいであるからです。

では、これにどう対策を打てばよいか、ですが、個人的にはかつての戦略のごとく、中国包囲網を作るしかないと思います。そのキーはインドとロシアであります。日本がしなくてはいけないのは東南アジア諸国を守りながら、インドとの関係を深めることがまずあげられます。次いで、今般、安倍首相が訪問した中央アジアも極めて戦略的な国家群ですが、最終的にはロシアと日本の関係を外交的に改善することが最大のキーとなるのではないでしょうか?

日本はロシアとの関係に於いて北方領土問題の解決なくして何も進まない、としています。これは朴大統領が慰安婦問題が解決しなければ何も解決しないというのと同じ論調で外交交渉としてはバランスが悪い気がします。

プーチン大統領と習近平国家主席は双方とも中心人物になりたい野心が強すぎ、実質的には完全なライバル関係です。よって、そこを逆手に取ればロシアとの外交交渉で新展開入りさせる方策はある気がします。

かつてブロック経済化が世界大不況を引き起こし、第二次世界大戦も日独伊という一種のブロック化の対決でした。私は今の中国の動きは不和を招く危険な方向に進んでいるように見えます。誰かが早くこれに気がつき、方向修正しないとまずいと日増しに思う今日この頃です。

では今日はこのあたりで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 11月3日付より

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