1人あたりGDPがイスラエルに抜かれたより大切なこと --- 内藤 忍

2015年12月28日 18:00

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12月25日の日本経済新聞によれば、2014年の日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)は経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国中20位だったことがわかりました(図表も同紙より)。イスラエルにも抜かれ、統計データのある1970年以来の最低ランクだそうです。

その原因は円安です。実は日本の1人当たり名目GDPは円建てでは増えているのです。米ドル建てでは3万6230ドルと、前年から6.0%減少したのはドル円の為替レートが7.8%円安になったのが原因です。これは、政府・日銀の金融政策によって実現したものと言えます。

1人あたりのGDPは、その国の国民の生産性を図る尺度の1つと言えます。厳密な比較はできないものの、アジアの中でもシンガポール、香港よりも下になりました。

このような事実から考えられることは2つあります。

1つは、円は過小評価されているという見方です。購買力平価による厳密な計算はともかく、日本人が先進国に行くと物価の高さに驚きます。NYやパリのような街でなくても、欧米の街で軽く朝食をカフェなどで食べるとすぐに1000円を超えるのに驚きます。逆に、日本のランチは繁華街でも800円くらいで美味しいものがたくさん見つかります。どう考えても円安は行き過ぎで、今の為替レートが間違っているという感覚を持つ人は多いと思います。

もう1つ考えておくべきことは、自国通貨の下落によって外貨資産を持たない人の資産は、気が付かないうちに毀損(きそん)していくということです。円で100万円持っている人は、1ドル=100円でも120円でも100万円のままです。しかし、為替レートが20%円安に振れれば、自分の保有している資産は、ドルベースでは20%減ってしまう。それを実感するのが海外に出かけた時の現地の価格です。

これから円安に向かうのか、それとも円高になるのか。予想をするのはプロにも難しいことですが、覚えておくべきことは、資産を1つの通貨だけに集中させてしまうと為替レートの変動の影響をもろに受けてしまうということです。

ドルベースの1人あたりGDPのランキングの上下に一喜一憂するのは意味のないことですが、為替レートの動きに左右されにくいライフスタイルをどうやって確立するのかを考えることには大きな意味があります。

年末にドル円では、やや円高方向に動いた為替レートですが、2016年はどうなるのか。どちらに転んでも大けがしないように今から準備をしておきたいものです。その具体的な方法は、数年前からずっと書籍やセミナーでご案内しています。


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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年12月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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