野党の支持率が上がらない「たった1つ」の理由

2016年01月14日 22:10

野党は完全に「政権与党の術中」にはまっている

国会論戦を見ていると、野党側から低所得高齢者への3万円のバラマキ、軽減税率の財源不足などが追及されています。これらの追及はマトモナ神経を持った人々による突っ込みではありますが、野党の行為が支持率の上昇につながるかと言えば、全く逆の結果につながるということを知るべきでしょう。

政権与党は、野党側に上記のような追及を行わせることによって、選挙上の世論環境を自分たちに有利な方向に導くことができます。今回はその仕組みについて簡単に解説していきたいと思います。

相手の政策を連呼する「財源論」は選挙戦略上の最大の悪手

「〇〇には〇〇億円かかるのです!一体どこにそのような財源があるのですか?」

これは負ける選挙で良く使われるフレーズです。このフレーズを述べると何故負けるのか?それは対立陣営の候補者自らが「本来は否定されるべき相手の政策」を連呼しているからです。しかも、数字付きで述べることによって有権者の頭にはばっちり記憶されることになります。

冒頭に触れた「低所得高齢者に3万円」という政策は、政権与党だけではなく愚かな野党が取り上げ続けることによって有権者層に浸透し続けることになります。消費税の軽減税率についても話は一緒であり、軽減税率1兆円の財源について議論すればするほど、軽減税率の概念と金額が広まっていくことになるのです。

多くの政治関係者が錯覚していることは、相手の政策のおかしさを批判すれば自党の支持率が上がる、ということです。そして、残念ながらそのようなことはほぼ発生しません。

相手の政策のおかしさを指摘することは実質的に相手の政策の宣伝でしかなく、自党の支持率を上げるためには「自党の政策」を相手に批判させる必要があります。3万円のバラマキはお金を受け取る当事者たちの記憶にはばっちりと残り続けることになる一方、それを批判していた人々の政策は有権者の記憶に残ることはないでしょう。

なぜなら、有権者は「反対」している人間の理屈に耳を貸すほど暇ではないからです。有権者はポジティブな選択肢に賛成したいのであり、小難しい反対論への関心は薄い傾向があります。日本国民の一日は多忙であり、ある政策を記憶した上で、その反対論まで理解し、そして更に反対者が掲げる政策まで覚えるほど暇ではないのです。

したがって、「相手の政策」に対する「財源論」批判とは最低最悪の選挙戦略上の悪手と言えるでしょう。

2009年・民主党による政権交代選挙で自民党が敗北した理由とは

2009年・民主党による政権交代選挙の時、自民党議員は「子ども手当とか、高速道路の無料化とか、一体どこにそのようなお金があるのですか!」と批判していました。

そして、自らの後援会の支持者に自民党の政策をほとんど語らず、民主党の看板政策の批判ばかりしたのです。その結果、自民党議員によって集められた後援会の支持者は「民主党の政策を記憶して」家路につくことになりました。

圧倒的な組織力を有している自民党・公明党の組織力が仇となり、彼らの組織がフル回転で民主党の政策を宣伝して回れば、自公政権でも与党であり続けることは極めて困難だと言えます。

野党は与党と比べれば組織力で常に劣勢に立たされているものです。野党が与党に勝利するためには与党支持者の「口コミ」を利用した選挙を実行することが選挙戦略上好手なのです。相手が自党の批判をしていることを喜んで受け入れて、相手の政策を無視し続けることが取るべき王道ということになります。

2009年時は民主党は与党としての振る舞いを実行し、自民党は負ける野党としての失策を犯していたのです。選挙上の争点設計に成功した陣営が勝利し、それに反対させられた陣営が負ける、という単純な構図が現れたと言えます。

野党は「パブロフの犬」の状態、条件反射の反対論からの脱却を

従って、現在の野党は安倍政権がぶらさげた分かりやすい餌に食いつかされている状態にあると言えるでしょう。政権与党が分かりやすいバラマキを行うことによって、野党はそれらに反対することが選挙戦略上意味があるかどうかを考えずに財源論に頼ってバラマキ政策に反対しているだけです。

まさに、政権与党にパブロフの犬のように扱われて馬鹿にされてる状況が野党の状況と言えます。

仮に野党が自党の支持率を上げたいのであれば、「多数決のために止めることができない」政権与党の政策を無視した上で、自党の問題意識と解決策としての政策を述べ続けるだけで良いのです。それもできるだけ分かりやすく、そして与党が「反対したくなる」ようなものを掲げる必要があります。

したがって、その選挙争点となる政策は「難しい財源論」ではなく「その政策に関心が無い与党の議員でも理解できる」ものである必要があります。誰もが「ぽろっ」と批判できる政策を創り出しつつ、深堀すれば非の打ちどころがないものを掲げることが重要なのです。

本来は政党助成金とは党の根幹となる政策を作り上げるための資金なのですが、現在は政権与党の批判を行う各議員の政治キャンペーンのための費用に化けており、全く本来の趣旨から逸脱したムダ金になっています。政策としても価値がないだけでなく、選挙としても全く意味がない使い道です。

野党は自らが本来何をすべきなのか、ということを今一度思い返して国会論戦に臨んでほしいと思まいます。

渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
東京茶会(Tokyo Tea Party)事務局長、一般社団法人Japan Conservative Union 理事
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