利回り20%のキャンペーン外貨定期預金はオイシイ? --- 内藤 忍

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日銀のマイナス金利導入の発表によって、国内金利は一段と低下し始めました。そんな中、大手地銀のインターネット支店が金利20%の米ドル定期預金の募集をしています。

地銀といっても信用力の高い銀行ですから、信用リスクを反映した高利回りではありません。問題は期間です。この手のキャンペーン高金利外貨預金のお約束ですが、年20%の金利でも適用されるのはわずか1か月。その後は通常の預金金利が適用される「バーゲン商品」です。

このような一見お得に見える金融商品は、手数料を計算してみて、手取りがどうなるか実際に数値化すると、そのお得具合がわかってきます。

年利20%であっても、税引き後の利回りは年15.937%と利息の約20%が課税されます。最低預入金額の10000ドルを預ける場合、1ドル=120円と仮定すると、下記のような計算になります。

1ドル=120円の時に円をドルに交換すると、為替手数料50銭がかかり、120.50円で1ドルと交換。10000ドルには1,205,000円が必要。

10000ドルを1か月20%で運用すると、税引後の利回りは約16%。単純に12分の1として1.25%になるので、約132ドル。

1か月後に、為替レートが120円で変わらないとすると、為替手数料50銭で、ドルから円への交換レートは1ドル=119.50円。10132ドルを119.50円で円に交換すると1,210,774円になりました。端数計算によって少し数字は変わるかもしれませんが、私の計算が間違っていなければ5,000円程度の金利が円で受け取れることになります。

このキャンペーン商品は為替手数料が50銭なので、1か月だけ預金して、すぐに解約して、為替レートが変わらなければ、プラスのリターンになりますが、為替手数料が1円だったら元本割れします。

手取りを計算してみてわかることは、金利20%と言っても計算すると利息は手数料にかなり持っていかれ、期間が短ければ実際に20%のリターンが得られる訳では無いということです。

カンボジアに行くと米ドル定期預金が年利5%という銀行が珍しくありません。こちらは1か月ではなく1年での金利です。期間限定ではなく本当にずっと高金利なのですが、その理由はカンボジアの銀行の信用リスクが金利水準に反映されているからです。ハイリスクハイリターンの預金です。

広告に掲載されていた地銀の高利回り外貨預金ですが、果たして売れ行きはどうなのでしょうか。せめて購入前に為替が動かない時の手取り金額の計算をした上でお申込みすべきかどうか考えた方が良いと思います。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。