出版社、編集者の価値を理解したいと思ったら読む記事

2016年02月12日 06:00
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城村氏主催のセミナーにて。後列中央が城村氏。

2015年に国内で出版された書籍と雑誌の販売額が、前年より約5%減の1兆5200億円程度にとどまりました。市場のピークが1996年(20年前)の2兆6563億円なので約6割に落ち込んだことになります。スマホや電子書籍の普及が影響しているといわれています。

しかし、出版不況といわれながらも出版には根強い人気があります。著書がそのまま名刺代わりになるからです。有名書店に自分の本が並ぶことは自分のパンフレットが陳列されているのと同じことです。

今回は、角川学芸出版のフォレスタシリーズの創設に携わり、フリーの書籍編集者として活躍している、城村典子氏に、著者になるためのヒントを伺いました。

●マーケットの環境について

—昨今、出版が難しくなっていると聞きますが実際はどうでしょうか。

城村典子(以下、城村) 版元編集者と打合せをするとマーケットの現況がよくわかります。版元からの情報は決して、楽しい話ばかりではなく、現実は厳しいという話もあります。企画の採用の話、出版後の売れ行きの状況の話、提出したサンプル原稿の出来の話など様々です。

特に、出版難易度は厳しさを増しています。版元の企画会議に上がってくる企画のなかで最終選考を通過するのは数%ではないかと思います。ようやく出版にこぎ着けても増刷(重版)になる確率は1割を切っています。そのため、情報発信力に長けている方のほうが有利ともいえます。

—自分でメディアをもっている人は少ないと思いますが。

城村 ブログやメルマガのレベルで構いません。既にご自身のフアン層が形成されていて、相応のPVがあったり、反響の得られる方は有利だと思います。ブログやメルマガの話をすると、「えっ?」、みたいな顔をされる方がいますが、不特定多数の人に発信できるブログやメルマガは大変便利でよいツールだと思います。

シンプルで誰にでも使えるツールだからこそ、差別化が難しくなっています。読者にとって「面白そう」「魅力的だな」と思ってもらえなければ、フアン層を獲得することはできないでしょう。そのためにも、日頃から感度を上げながら発信力を高めておく必要性はあると思います。

●編集者という仕事

—出版における編集者の価値とはどのようなものでしょうか。

城村 本を「つくる」という過程において編集が入る本と、編集が入らない本とでは大きな差が出ます。編集者は、読者に響くか、買いたくなるか、売れ筋かどうかなど、本の全体のイメージや著者に分からない情報を持っています。

また、著者と読者をつなぐ役割や、質の高い本をつくり、そして売る役割も担っています。1人で本を告知して、売ることには限界が生じますから、編集者とタッグを組みながら想定される読者に対してのアプローチを考える必要性があります。だから、編集者の嗅覚、感覚は大切です。

特に、著者は一冊の本を仕上げるのに、10万字の原稿が必要になります。慣れていない方にとっては、身も心もすり減らす大変な作業です。そんな状況で冷静沈着な判断をするには限界があります。本のクオリティや質、全体のマネジメントは編集者の腕の見せどころなのです。

出版の環境は、厳しくなりつつありますが、著者と編集者に良い関係があれば、苦境であっても話が前向きに展開するものです。その展開からドラマがあるところが出版の仕事の醍醐味ではないかと思います。

今の出版業界の状況では、出版社の編集者はますます忙しくなっています。一方ビジネス、実用、一般書の著者というのは、ほとんど別のビジネスなどの活動で実績をもつような、専業著者ではありません。いいコンテンツを持ってる著者のサポートをして、ギャップを埋めるのが私の仕事です。出版社の編集者に高いクオリティのものを渡すとさらにその上のレベルの仕事をしてもらうことができます。今後も、質の高い、面白い本を増やしたいと思っています、

何冊も本をつくってきても、著者と版元と、私も新規チームに入ればほとんどが、初顔合わせで本をつくることになります。本が思うように売れた、あるいは、メチャメチャ売れたということの方が少ない時代です。地道に本を売ることの方が多く、大変なことが多いからこそ、やりがいもあり、良い関係で本がつくれるのではないかと思います。

—有難うございました。

出版を効果的に実現するためには、編集者とのタッグが必要です。既に著者の方、これから著者を目指す方、信頼できる編集者を見つけてみてはいかがでしょうか。

尾藤克之
経営コンサルタント

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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