今週の出来事から

暴風雨の世界金融市場は何処で落ち着きを取り戻すのでしょうか?

10日で10円の円高、3日で2000円下げる日経平均。その激しい動きは海外のそれと比較すると正にレバレッジがかかった状態にあると言えます。今回の問題のトリガー(引き金)ですが、複合要因で日欧米それぞれにあるように見えます。

まず、日本ですが、日銀のマイナス金利導入が市場に疑心暗鬼と消化不良を起こしたこと。そして最大の懸念は金融機関の経営への打撃懸念が日銀が想像していたよりはるかに激しかったことがありましょう。その為、三菱UFJは昨年末に比べて株価が半分近くになっていますが、経営不振が伝えられるドイツ銀行と同レベルの下げです。つまり、日本は株も為替も動きが極端に大きくなる傾向が強いことを改めて確認しました。

欧州はそのドイツ銀行が引き金でしょうか?同社の発行するCoCo債(偶発転換社債)に疑念が生じ、銀行側は火消に躍起、週末には30億ユーロと20億ドル規模の債権買戻しを発表しましたが、問題のCoCo債はそれに入っていません。もう一つ、欧州の潜在的不安を作ったのはイギリスの中央銀行が2月4日に期待外れの金利据え置きを発表しました。特に全員一致の決議だったことで「当面の利上げはない」とみなされたことが欧州の景気の先行きを暗いものにしました。

アメリカですが、私は昨日(当地の木曜日)にイエレン議長が上院の証言でマイナス金利の検討を始めるとしたことに(個人的ですが)衝撃を感じました。FRBは2010年にマイナス金利は金融機関への影響が甚大であるとして「三途の川」は渡らないという方針でした。勿論、検討するだけで実施するわけではないのですが、そこまで言わされたアメリカの景気の下向きバイアスは無視できないということになります。

さて、ではこの相場、何処まで行くのか、ですが、勝手な予想は書けませんが、金曜日にバークレイズ証券は年末の円相場を95円と打ち出してきました。それまでは120円でしたから大転換とも言えますが、今後、軌道修正するアナリストは相当増えてくると思います。

株価については1月23日の私のブログで「(下落の)第一波が終わる」と述べ、事実、そこから1500円幅で上昇し、第二波の下落が始まりました。第二波の最大の注目点は第一波の下値である16000円で止まり、W底となるかどうかでしたが、あっさり割り込みました。週明け月曜日に注目の上海市場が春節明けでオープンしますが、下がることは相当織り込んでいること、東京市場は追証の処分売りが一旦収まりそうな気配、金曜日のNY市場で株、為替、原油ともに大幅反発ですので東京も一時的に大きく反発してもよい頃かと思います。但し、その先は世界レベルでの政策協調が求められるでしょう。一部に期待されている為替介入はお金をどぶに捨てるようなものですのでせいぜい口先に留まると思います。

そういえば黒田総裁が「為替管理は財務省の管轄」と述べていました。ん?と思ったのは私だけでしょうか?確かに管轄からすればそうなのですが、日銀の政策は為替を利用してインフレ率を高めようとしたのではなかったではないでしょうか?とすれば円安局面では得意満々、円高局面では「俺は知らん」ではどうかと思います。申し訳ないですが私個人の黒田さんへの評価はちょっと沈んでいます。

違う話題を短く二つほど。

週刊文春、凄すぎます。新谷学編集長の手腕ですが、ベッキー、甘利大臣、宮崎議員と三連発です。この編集長、実は昨年秋、「春画特集」で世間から非難を浴び、3か月休職させられ、復帰直後のスクープでした。もともと相当やり手ですが、敵も多いような気がします。休職も本当の理由は他にも理由はある気がします。が、週刊誌ではダントツの売れ行きの42万部です。やり方としては目立つ人間をパシッと落とし込む、という手法でしょうか?ホコリの出ない人はいない、という論理だと思います。われわれは凡人ですから大丈夫だと思いますが。

北朝鮮。遂に拉致再調査を行う北朝鮮側の特別調査委員会を解体しました。北朝鮮の孤立化はどんどん進みます。が、相手にしてもらいたいというやんちゃなところがあり、甘えにも見えます。子供のダダに大人がいつまでも振り回されると思ったら大間違いです。しかし、北朝鮮を取り巻く事態は北朝鮮がドンドン駒を進めていますので一触即発状態にあるとみて良いでしょう。囲い込み作戦をとるべきで、そのためには中国の協力は絶対に必要です。その中国は北朝鮮崩壊で難民が中国側に溢れるのを非常に恐れているとされ、奇妙な及び腰があるのも事実のようです。

長くなりました。今日はこのぐらいにしましょう。

良い週末を。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 2月13日付より