日本人は「ゆでガエル」になるか

2016年03月21日 18:32


カエルを熱湯に入れると飛び出して逃げるが、ゆっくり温度を上げると気持ちがいいので、そのままゆで上がって死んでしまう「ゆでガエル」という話がある。実際のカエルで実験すると、ほとんどは逃げ出すが、上の動画のようにごくゆっくり加熱したあと急に加熱すると、死んでしまう。

日本は「ゆで人間」の壮大な実験をしている。政府債務は1100兆円を超えたが、世界的な低金利はしばらく続くと思われるので、金利上昇でハイパーインフレになる「ハードランディング」のリスクは遠のいた。しかし安倍政権は財政再建を放棄したので、国民負担率は増え続ける。

すでに税よりも社会保険料の負担のほうが大きい。消費税が2%上がるかどうかで大騒ぎしているが、東京都の場合、厚生年金保険料率は17.8%、健康保険料は11.5%だ(介護保険料を含む)。その半分は会社が負担するが、本人負担だけでも年収400万円のサラリーマンなら、両方で年額58.8万円だ。

この世帯の消費が年間300万円とすると、消費税は上がっても30万円だから、その2倍近い社会保険料を払っているのだが、消費税と違って個人によって負担が違い、「保険料」という名前なので、あまり負担感がないゆでガエル状態だ。

しかし消費税の増税を延期すると社会保障会計の赤字が増え、その破綻が早まる。積立金が枯渇するのは20年ぐらい先だからあまり実感がないが、保険料は自動的に上がってゆくので、国民負担率がどうなるかは予想できる。


社会保障支出(兆円)と国民負担率(右軸%)

これは鈴木亘氏のシミュレーションだが、今の負担率のままゼロ成長が続くと、国民負担率は20年後に60%を超え、60年後にはなんと100%を超える。遅くとも20年後までに、年金会計は破綻するとみられている。

日銀がインフレにして政府債務を踏み倒す金融抑圧も失敗し、マイナス金利で資本逃避が始まっている。あと10年以内に政府債務が個人金融資産を上回るので、そのあたりで外債を募集すると金利上昇が起こるだろう。そのころには日本経済はもうゆで上がって、上のカエルのように死んでしまうかもしれない。

*保険料の数字が一部まちがっていたので訂正したが、会社負担の保険料は賃金原資から差し引かれるので、実質的には労働者が全額負担している。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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