清原の(?)ウマイ弁当を食べた記者はマズイ

2016年03月23日 10:30

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どうも新田です。叙々苑の焼肉弁当、たまには食べてみたいこの頃です。まあ、私も現場にいて突然想定外の差し入れがあったら、どう取り扱っていいのか困惑してしまうのは確か。しかし、仮に弁当を持ち込んだ人間が話していたとおり、清原被告の差し入れであったとしたら、刑事被告人からの利益供与になるわけで、スポニチは記者が勝手の知らない新人くんだったとはいえ、やはり、食べたことをそのままネタにして、情報番組でもいけしゃあしゃあとインタビュー受けたりしているのは、やはり報道機関としてのモラルが、問われると思いますよ。

テレビ各局の取り上げ方やネット上の反応は、例によってJcastがまとめているんで、経緯を知りたい方はこちらを。

「倫理観なし」「買収されてる」 清原差し入れ「焼肉弁当」を食べたマスコミに批判

http://www.j-cast.com/2016/03/21261887.html

スポニチに“記者行動規範”は無いのか?

モラルというと、根拠が曖昧になってしまいそうなので、一応業界的には、記者たちのモラルについてもちゃんとルール化しております。スポニチも一応加盟している日本新聞協会の倫理綱領では、金品の授受についての明文化こそされてないものの、言論の自由のために外部からの干渉をはねつけるように求めております。

独立と寛容

新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

さらに金品のやりとりについて、もう少し現場レベルにブレイクダウンしたものもあります。スポニチのそれがネットで見つからなかったので、じゃ、スポーツ紙のそれよりは厳しいであろう、しかし自分の経験則で確実な読売の記者行動規範に金品の授受について書いてあった記憶があり、探してみたんですよ。

残念ながら記者に配られる行動規範のミニ冊子は、退社の際に返却したか、捨ててしまったかで手元になかったので、ググッたところ、就活生向けに古巣が載せているウェブサイトを発見。読売の記者行動規範の7項にはこう書いてあります。

7・報道の公正さを疑われるような利益の提供は受けてはならない。それは、現に取材対象となっている相手からの利益提供に限らない。

ついでに産経さんも記者指針の「自由と責任」にはこうあります。

2)暴力的ないし精神的な圧力を取材先や情報入手先にかけてはならない。逆に外部勢力からの不当な圧力に屈してはならず、ましてや金銭的利益を伴う誘惑に応じてはならない。

おそらくスポニチさんも、同様のものはあるはずだと思いますよ。

本当に清原被告の差し入れか?

それにしても、今回の報道を見ていると、差し入れが清原被告のものだと前提になっているのに、微妙な感想を持っております。佐藤優さん的なインテリジェンス思考を働かせずとも、反社会的勢力との接点が明白な状況になっている清原被告のことですから、もう少し、多角的な見方があってもいいと思うんですよ。

逮捕当初、清原被告は入手先の供述を拒んでいたと報じられています。巨人時代の90年代後半からの使用疑惑も出ていますから、その筋で20年近いお付き合いのある方もいる可能性も考えられます。で、逮捕から1か月が立ち、保釈の判断が出る期日が近づくにつれて、各紙一斉にこんな感じの報道が出てまいりました。

清原容疑者「嫌なこと忘れたかった」 覚醒剤動機を供述

(朝日新聞デジタル2016年3月15日)http://www.asahi.com/articles/ASJ3H53JGJ3HUTIL02R.html

朝日の記事によると、立件された容疑内容を中心に少なくとも近年の使用状況や入手状況について供述しているとみられますし、裁判所が保釈を決定したのも、本人がしおらしく供述している態度も判断材料に含めているからでしょう。しかし、記事をよく読むと、覚せい剤の使用開始時期については口を噤んでおります。ワタシメの事件取材経験など、若い頃の数年程度に過ぎませんが、清原被告がまだまだ話をしていないことも多々あるのではないかと推察します。

清原被告が話していない情報に絡むステークホルダー、それも日の当たらない界隈の住人がいる可能性は大いに考えられます。刑事被告人に転落し、現在は薬物断ちの治療中で心身ともにいっぱいいっぱいの清原被告本人が、自分を追いかけ回す報道陣に、高級焼肉弁当を提供してもいいという精神的余裕が本当にあったのかどうか、このあたり釈然としません。

ポロニウム入ってたらどうすんの!?

清原被告がここまでの捜査で何を話したのか、あるいは法廷で何を話すのか、センシティブになっている“ステークホルダー”が多々いるのは確か。(今回の病院内の情報接触の制限は不明だが)拘置所と違い、病院は新聞やネットで外の情報に触れる自由度は高いでしょうから、仮に清原被告が差し入れたものでなければ、報道を通じて、外の弁当騒動を聞くや、「お前のことを見ているんだぞ」というある種のダイイングメッセージと解釈するというのは、塀の内外の規制をかいくぐってコミュニケーションする世界があることを知っている人なら容易に想像が付くはず。

弁当を食ったスポニチの新人くんはともかく、記事を載せて炎上の種を振りまくというウェブメディア的な芸当を見せてくれたスポニチの社会部デスクに、事件報道を取り扱う記者として持っているはずのリテラシーが感じられないのは、不思議でなりません。第一、毒物が入っている可能性もゼロではないのだから、ロシアの暗殺事情を知っている元記者からは「ポロニウム入ってたら、どうするんだろうね」と失笑が漏れるこの頃。

とりあえず、世間一般の教訓としては、知らない人からの贈り物や身に覚えのない筋からの高額な振り込みには、注意したいところです。ではでは。

※画像は「写真AC」より

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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