ダブル補選は左翼野合路線の限界を証明

2016年04月25日 06:01

注目のダブル補欠選挙では、北海道5区では自民党の新人で公明党などが推薦する和田義明氏が予想以上の差で勝利した。また、京都3区では民進党の泉健太氏が予想以上に順調な勝利を収め、おおさか維新の森夏枝は惨敗した。

この結果は、それほど驚くべきものでないが、ここでは、今後の政局の動向を占うという観点から、もう少し詳細に分析してみたい。

北海道5区が意外な接戦になったワケ

北海道では、普通なら弔い合戦ということで和田氏が楽勝するのが当然だったし、当初は楽勝ムードだったが、途中から意外な接戦になった。

その理由の第一は、和田氏が娘婿といっても町村姓でなく和田姓のままだったことだ。これまでも、娘婿でも姓が違うと弱いのが常識である。そもそも、世襲候補自体が馬鹿馬鹿しい話である。まして、娘婿ではDNA継承という期待もない。

ただ、婿養子などで配偶者の姓を名乗っていたりすると、「そこまでの犠牲を払っての覚悟を買いたい」「これで落としたら夫人であるお嬢さんがかわいそう」という気分が高揚して実子に劣らぬ支持を得ることができる。

ところが、姓を変わっていないと、「虫が良すぎる」「落選しても姓を変わらなかったのだからということで前代議士の遺族も納得するだろう」という心理が働くので、後援会の継承がスムーズという程度の意味はあるが、弔い合戦特有の強さは期待できないのである。

まして、和田氏はやや頭が高かったのだから、なかなか厳しかった。さらにいえば、故町村信孝氏も、北海道では神様的な存在だった父の町村金吾元知事の七光りで当選は続けたものの、惜敗率で復活ということもあるなど、盤石の地盤でもなかった。

そして、民進党の池田真紀氏のキャラクターが、少なくとも和田氏に対するアンチテーゼとしては、好ましかったことが、接戦につながった。

しかし、池田氏のキャラクターはやはり「きわもの」だったし、共産、社民、生活三党の推薦を得たことも、自民や公明の支持層をがっちり固めさせた。

無党派層の池田氏への支持は70%ほどといわれるので、候補者のキャラクターが功を奏してまずまずの成功ではあったが、与党支持層にはキャラクターへの共感があっても限界が出ることを示したのではないか。鈴木宗男氏の和田氏への支持も、無党派層への浸透には役に立たなかったが、自公の池田氏への警戒感を強めるのには貢献した。

京都3区で惨敗の維新。作戦の練り直しへ

京都については、得票率よりも得票数に着目したい。前回の選挙では、自民5.9万、民主5.5万、共産2.7万、維新2.5万であり、今回は泉(民進)6.5万、森(おおさか維新)2.1万である。

出口調査によると、自民と公明の支持層で圧倒的に泉氏が森氏を上回った。維新の元議員が地元のベテラン府議だったのと比べて落下傘である森氏はもともと候補者の選定に疑問があったが、前回選挙での維新の票を下回ったのは、作戦の練り直しを迫られるだろう。

もともと、橋下維新が全国的な人気を得ていた理由のひとつは、橋下氏が東京生まれと言うことも含めて大阪テイストを過度に感じさせないことにもあったと思う。その橋下氏がいなくなれば、ますます、政策的に大阪テイストを薄める必要があった。

ところが、候補者は京都の人でなく。政策的にも大阪中心でない京都やオール関西との連携を打ち出さなかったのだから伸びしろがなかった。

私は副首都構想にしてもむしろ京都をシャッポに置くくらい度量が大阪にあるべきだと思う。ちょうど文化庁の京都移転が発表されたが、もし大阪だったら世論の支持を受けなかっただろう。京都だから東京の人も全国の人も納得するのだ。

リニア新幹線の大阪延伸も京都を通らないのではなんとも迫力がない。私は大阪は京都や、さらには神戸とスクラムを組んで、それぞれの町がその強みを活かすような役割分担をしないと、大きな果実を生まないと思う。

たとえば、京都は東京の首都機能の一部を分担する、大阪は西日本の中心機能を強化する(たとえばNHK全国放送のチャンネルをひとつ大阪に渡せば日本全体のセキュリティ向上に資するはずだ)、神戸は国際交流機能を強化するということだって可能なはずだ。

また、京都には地域政党として京都党というのがあるが、これとの連携も出来ないようでは、怠惰としか言いようがない。

徹底した“民進隠し”が奏功した泉氏

izumi

泉氏については、徹底的に「民進隠し」「共産はずし」を試みた。そしてポスター=写真=に書かれた「民進」の文字の小さかったこと。そして、共産党の推薦も受けなかった。

また、自民党は、本選挙を睨んで候補者を決めて選挙中に発表して、自民票が森候補に流れることをブロックしたし、公明票も森氏に流れなかった。

そういう意味では、野党共闘路線は成功したとは言いがたかったが、泉氏の次期総選挙での見通しは非常に明るいものとなったし、さらに、京都4区で実力派の北神圭朗氏が繰り上げ当選したことも含めて、京都の民進党はかなりパワーアップしたのではないか。

民進党は真の中道左派に脱皮できるか?そして、安倍総理の決断は?

いずれにしろ、もし、政権に近づこうというなら、やはり中道左派政党としての路線に徹するべきなのだと思う。安保法制は多くの政策課題の一つに過ぎない。自由と民主主義を擁護するのに徹するのか、世界的にそれと敵対する勢力と組むのか、どちらが政権党に相応しいかは明らかだ。

いつもいっていることだが、民進党は極左勢力が自分たちをリベラルと称する非常識な主張を排し、国際的な常識に従ったリベラルと穏健左派からなる中道左派政党として、共産党を極小化するか、党名を変えるくらいのホントの意味での変身を促すかにするべきだと思う。

さらに、今後の政局と言うことだが、熊本の状況も見なくてはならないが、5月下旬にサミットが開かれ、オバマ大統領が広島で安倍首相と並んで非核宣言をするだろうという絶好のお膳立てを逃すことは馬鹿げている。

オバマ大統領はイギリスでもイギリスのEU脱退を、「もし、イギリスがEUから脱退したらアメリカとの関係で列の後ろに並んでもらわねばならない」と(個人的関係がそれほど言い訳でないがそれでも)キャメロン首相に露骨に肩入れした。伊勢志摩と広島でも同じことになるのではないか。非核宣言は日米安保強化や原子力の平和利用とワンセットだろう。 

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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