サウジアラビア政府、脱石油経済計画を承認

2016年04月26日 06:00

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サウジアラビアと言えば、石油輸出国機構(OPEC)の盟主たるべき存在。隆盛を極めた時代はどこへやら、原油先物が2014年6月の107ドル台から今年に入って一時26ドル台まで沈んでしまい、財政難にどっぷり陥っています。2015年には、原油高時代のバラまき財政の後遺症やイエメンへの軍事介入あり、財政赤字が3670億リヤル(979億ドル、10.8兆円)と過去最大を記録。国内総生産(GDP)比では、15%に達してしまいました。2016年は3260億リヤルへの縮小を見込み、歳入のうち8割を原油に依存する状態から脱却を目指し、支出見直ししや資産売却を図ります。

資産売却の一環として、サウジアラビアは国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)の準備を粛々と進行中。既に、JPモルガンと元シティグループで投資銀行を経営するマイケル・クライン氏を助言役に起用済みだといいます。企業価値は2.5兆ドルとされ、アップルの4倍超!!そのうち5%が上場されるとあって、単純計算で時価総額はシティグループを若干下回る1250億ドルですから、その巨大さを思い知らされます。IPOとしては2014年のアリババを軽く超え、過去最高に躍り出ること間違いなしです。

資産売却だけに依存せず、抜本的な経済政策の転換も忘れません。サウジアラビア政府は25日、予算見直しを超えた脱原油依存計画「サウジ・ビジョン・2030」を承認CNBCによるとサウジアラムコのIPOのほか規制緩和、予算見直し、政策対応などあらゆる手段を講じて15年後、すなわち2030年までにGDPの原油輸出以外のシェアを直近の16%から50%への拡大を目指します。

まず経済の多様性を支える政策で、再生エネルギーや産業機器セクターの自国内で育成する計画が含まれています。2020年をメドにサウジアラビアに居住する外国人居住者にいわゆる米国の”グリーンカード”のようなシステムも導入、少なくとも投資規制を緩和させる方針です。サウジアラムコの売却益を一部元手に2兆ドル規模のソブリン・ファンドを創出させるほか、デジタル・インフラストラクチャー、文化、教育、軍事に及びます。

サウジアラビア・タダウル全株指数、承認を受けご覧のように急伸(1ヵ月の日足)。
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(出所:Trending Economics

「サウジ・ビジョン・2030」の承認の陰で、NY時間午前9時40分時点に原油先物が1%以上も急落中。ダウまで100ドル超の下落をみせています。サウジの原油依存脱却案でOPECの足並みが乱れる不安もあったでしょうが、以前から「サウジ・ビジョン・2030」をめぐる報道が駆け巡っていた事情もあり、これだけで下落したとは思えません。サウジの決定を嫌気したというより、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えた利益確定の売りがなだれ込んでいるのでしょう。6月利上げの選択肢を残す可能性を踏まえれば、しっかり益出しするのも悪くありません。ヘッジファンドの決算時期にも重なる5月は、「5月に売り逃げろ」という投資格言もございますしね。

(カバー写真:Ron Simmerman/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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