今年生まれた赤ちゃんの人生はどうなる?

2016年04月27日 07:41

智恵莉今週の土曜日(30日)のニコニコ超会議では、14:30からアゴラ研究所が放送します。出演は、フリーアナウンサーの智恵莉さん(写真)と新田哲史(アゴラ編集長)と池田信夫(アゴラ研究所長)です。テーマは「今年生まれた赤ちゃんの人生はどうなる?」

4月29日に池田の本『今さら聞けない経済教室』が出るので、それをテキストにして、日本経済の未来を考えます。ちょうど智恵莉さんは6月に出産予定ですが、赤ちゃんの人生はどうなるんでしょうか?

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生涯の受益と負担(経済財政白書)
この図の折れ線グラフは、世代別にみた生涯の受益(政府サービスや社会保障)と負担(税・社会保険料)の差ですが、今の60歳以上では受益が負担より生涯で5000万円ぐらい多いのに対して、今年生まれる赤ちゃん(将来世代)は負担が受益より5000万円近く多くなります。

つまり今の社会保障制度をこのままほっておくと、今年生まれる赤ちゃんの生涯所得は、お年寄りより1億円近く少なくなるのです。1億円もあれば、東京でも立派な家が買えるので、これはお年寄りの世代の住む家の住宅ローンを、その孫の世代が一生かかって払う(家には住めない)ようなものです。

なぜこんなことになるんでしょうか? それは今の年金や医療費が賦課方式になっているからです。これはお年寄りの社会保障費を同じ時代の現役世代が払うしくみなので、お年寄りより現役世代がはるかに多いときは、社会保険の負担は軽くてすみましたが、これからお年寄りが大幅に増えると現役世代の負担は重くなります。

今はお年寄り1人に対して現役世代が3人ぐらいですが、2025年にはこの比率は1対2ぐらいになり、2050年には1対1になります。つまり今年生まれた赤ちゃんが35歳になったときには、現役世代1人で2人分の生活費をかせがなければならないわけです。働く人が、みんなお年寄りを1人ずつ背負って暮らすようなものです。


国民負担率の将来予測(鈴木亘氏の試算)
しかも労働人口も急速に減るので、長期の成長率をゼロと考えると、図のようにサラリーマンの給料から天引きされる国民負担(税・社会保険料)はどんどん大きくなり、赤ちゃんが働き始める2035年には消費税は25%を超え、可処分所得(手取りの給料)は今の7割ぐらいしかなくなります。

これは「格差」ではなく、所得が絶対的に減ることを示しています。赤ちゃんはお父さんやお母さんより貧しくなるのです。赤ちゃんが年金をもらう2075年ごろには、国民負担率はなんと100%を超えてしまいます。つまり社会保障会計は破たんして、年金はもらえなくなるのです。

もちろん、そんなことになる前に年金の支給開始年齢を引き上げるとか、医療費の本人負担を増やすなどの改革が必要です。それは政治家のみなさんがいやがるので、赤ちゃんの世代が団結して闘わないといけないのですが、赤ちゃんには選挙権がありません。

せめてお父さんやお母さんが、赤ちゃんのために闘って負担を公平にしないと、これから団塊の世代のお年寄りがどんどん年金を食いつぶしていきます。これは緊急の課題です。食いつぶされてから改革してもおそいのです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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