日本の財政は「余命5年」?

2016年05月01日 21:24

きのうのニコニコ超会議で、言い忘れたことが一つある。社会保障の問題は世代間のゼロサム・ゲームではないということだ。最近、元IMF理事のブランシャールが、日本の財政破綻を予想して話題になっている。

One day the BoJ may well get a call from the finance ministry saying please think about us – it is a life or death question – and keep rates at zero for a bit longer.

The risk of fiscal dominance, leading eventually to high inflation, is definitely present. I would not be surprised if this were to happen sometime in the next five to ten years.

あと5年から10年の間に、日本の財政が破綻し、高率のインフレが起るおそれが強いという。安倍政権が財政再建を放棄したと市場が判断すると、国債が投げ売りされ、金利と物価が暴騰する。

世界的にみても、マイナス金利の国債は激増し、その残高は7兆ドルにのぼっている。こういう異常な事態は、金利が反転して暴騰する前兆であることが多い。それがリーマン・ショックのような「大爆発」になるかどうかは、中央銀行と政府の「総力戦」だ。


大爆発の引き金を引くのは、ユーロ圏かもしれない。ポルトガルの政府債務はGDPの129%だが、社会主義政権は緊縮財政を拒否し、ECBに救済を求めている。ポルトガルの国債の金利はドイツより3.25%高い。スペインやイタリアの財政も危機だが、政府は「成長で財政を再建する」という安倍政権と同じ夢を語っている。

量的緩和は日本でもEUでも効果がないが、ハイパーインフレを起こす役には立つだろう。政府が財政再建を放棄し、中銀が「際限なく国債を買う」とコミットすれば、国債の投げ売りが始まり、金利と物価の暴騰が起る。

こういう場合は、2%のインフレ目標なんて意味がない。5%のインフレを10年続ければ、政府債務は2/3になるが、その最大の被害者は物価に連動して賃金の上がる現役世代ではなく、確定給付の年金生活者である

ドイツ政府は、IMFのこういう考え方を”Inflation Maximizing Fund”と批判しているが、必要なのはインフレを最大化することではなく、コントロールすることだ。ハイパーインフレをコントロールできた中銀は歴史上ないので、これは大きなチャレンジである。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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