「プロ経営者」という「雇われマダム」

2016年05月12日 10:40

日本マクドナルドホールディングス会長兼社長などを歴任し、ベネッセホールディングスのトップを務めていた原田泳幸会長兼社長が就任から2年で退任しました。LIXILグループでもゼネラル・エレクトリック(GE)出身のプロ経営者として注目された藤森義明社長兼CEOが、就任4年の昨年末に引退を電撃発表するなど、いわゆる「プロ経営者」の交代が目立っています。

原田氏はベネッセの創業家出身である福武総一郎最高顧問に請われて2014年6月にトップに就任しました。また、藤森氏もLIXILの前身であるトステムの創業家二代目の潮田洋一郎氏から請われて経営の舵取りを任されました。

ベネッセの場合は、就任直後の顧客情報漏えい問題が発覚。LIXILの場合は、買収したグローエ傘下の中国ジョウユウの不正会計によって累計660億円の特別損失を計上。これらの業績不振につながる問題を解決できなかったことが、お2人の退任の背景にあると思います。

経営者というのは、非上場企業では当たり前の自らがオーナーになって経営するケース、日本の多くの上場企業のように内部からの昇進によってトップを決めるケース、そして原田氏や藤森氏のような「プロ経営者」という3つに分類できます。

自らがオーナーである自営業者は、所有と経営が一体化し、世襲でもしない限りトップの交代はありません。倒産すれば終わりですが、会社が存続する限り経営責任を問われてトップを退くことはありません。

上場企業のサラリーマン経営者は、株主よりもむしろ社内力学や取締役会での微妙なパワーバランスによって、そのポジションがどうなるか決まっています。

原田氏や藤森氏が経営した会社も上場企業ではありますが、一般企業と異なるのは、創業家出身者が実質的な人事権を持っている会社であったということです。

飲食店で言えば、創業家にスカウトされたプロ経営者は雇われマダムと一緒です。バーのオーナーである先代のママが、お店の経営を近くの繁盛店から引き抜いた「雇われママ」に任せてみた。元々お店にいた従業員には無い成果を期待したものの、あまり売上は上がらない。結果が出ないので、結局オーナーに追い出されてしまった。そんな情景と重なって見えます。

「プロ経営者」は、常に短期の結果が求められます。情報漏えいだろうが、グループ会社の不正経理だろうが、結果が出なければ評価されません。合理的なようでもありますが、不可抗力や運にも左右される不安定な仕事です。きっと毎日が網の上で焼かれているチキン(写真)のような心境でしょう。

今回も日本企業の創業家が持つ底知れぬパワーを思い知らされました。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月12日の記事を転載させていただきました(画像はベネッセホールディングス公式サイトより、アゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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内藤 忍
資産デザイン研究所社長

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