舛添知事の頭の中はオモチャ箱
舛添都知事の政治資金の私的流用疑惑について、調査報告書が発表されました。報告書や会見の様子を拝見すると、都知事は外見は大人でも、精神構造は大人になりきっていない子供並みの人物であることがよくわかりました。自発的に辞める気配はありませんから、リコールで退陣に追い込む運動を起こすべきでしょう。
まず、その前に触れたいのは弁護士の役割です。知事は「第三者による調査を依頼する」といっていましたから、てっきり「第三者委員会」の調査と錯覚したした人も多かったでしょう。発表を聞いて、「なんだこれは依頼人(舛添氏)の利益を擁護しただけではないのか」との受け止め方が大勢だったでしょうね。「第三者委員会」を装ったような「第三者の調査」という言葉にトリックにひっかけられたのでしょう。
本人が依頼した弁護士は利害関係者
弁護士は依頼人の利益や権利を、外部の批判や司法の追及から守るのが本来の役割です。企業不祥事で第三者委員会が設立され、会社側が弁護士や公認会計士に依頼し、経営者の不始末を調べあげるのとは違います。舛添氏の場合は、本人が弁護士を選び、チェックしてもらったのですから、本人にとって決定的な不利益がでてくるはずはないのです。
次は数々の「不適切な行為」です。一覧表をみていますと、この人の頭の中は「オモチャ箱」並みであることが分かります。政治資金で買ったものの中に、お子さん向けと思われる「コミックのクレヨンしんちゃん」などが含まれています。そのほか「ピザの焼き方」、「江戸流そば打ち」、そのほか絵画、版画の購入に及ぶと、「政治資金は趣味のための資金」と思い込んでいたようですね。「公私混同」の意識はなく、「公私一体」なのでしょう。
新聞の社説は「公人としての自覚を欠く金銭感覚にあきれる」(読売7日)などと、書きます。「金銭感覚を欠く」というより、こういうおカネの使い方がこの人に「金銭感覚」だったのでしょう。正式の「第三者委員会」なら、そう指摘していたと思います。本人が「第三者による調査」と発表した際、メディアはその点を突いておくべきでした。
違法性を問えない法律にしてある
依頼された弁護士は調査内容について、「不適切な行為であっても、違法性はない」を連発しました。それはそうでしょうね。政治資金法は資金使途、支出の是非をめぐる規定はないので、政治家が「政治活動に使った」とさえ言えば、責任を追及されません。本当の第三者の調査でしたら、「違法性を問わない、あるいは問えない法律にしてある。よって違法性はないと判断するしかない」と、指摘したでしょう。
政治資金規正法はあちこちに抜け道が用意されており、違法性のある行為を見逃すための、政治家のための、特別法律といえます。こんな法律は早く法改正をすべきなのです。テレビを見ていましたら、公務員が「われわれが同じようなことをしたら、懲戒免職だ」とつぶやいていました。政治家とそのほかの人間に適用される法体系は区別してあるようなものです。こんな時に野党が頑張れば支持を集められると思いますね。
都議会も安倍政権も動きが鈍いですね。参院選とかち合うとか、舛添氏を推薦した責任を問われるとかいって、逃げ腰です。当面は市民の運動に期待するしかありません。知事の解職請求(リコール)というのはどうでしょうか。有権者の3分の1以上の署名(東京都のような大都市は6分の1以上)を集め、住民投票で支持を得られれば、解職できます。東京都の場合は、150万人以上の署名ですから、不可能ではありますまい。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2016年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。