増田寛也・岩手県知事時代の後援会はどんな人達だったのか

渡瀬 裕哉

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(出典FNN)

任期3期目に質問された後援会幹部の立場と県庁の補助金・委託事業の関係

本日は筆者の主観を出来る限り混ぜず、増田寛也知事(当時)と佐藤正春・県議会議員の岩手県議会でのやり取り及びそれに伴う事実について紹介していきます。(平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録)

<佐藤正春>
「選挙の母体となった後援会のメンバーを見ると、かつ第1回の選挙で必死になって知事を担ぎ上げた建設業界グループ1社も、1人も入っておりません。なぜですか。土建王国の知事と言われるのをまだ嫌っているのですか。あなたを熱烈に応援したところの高弥、丸伊、丸協などは皆つぶれました。再建中のところもございますが、今ごろ歯ぎしりをしているのではございませんか。知事、心の痛みは感じませんか。きちんとお答えを願います。」

「県予算、公共工事とかかわりのある業者が後援会のメンバーであるというとげいぶんが悪いと言うならば――外聞ですよ――ここに平成13年度の増田寛也の政治団体の収支報告書がございます。これによりますと後援会連合会長の大堀勉さんは岩手医大の理事長であり、県では毎年4、000万円から5、000万円研究費、補助金を出しております。県費と利害関係にあるんです。

「幹事長をやっておるところの高塚猛氏は、この人は相当金もうけの上手な人らしくて過去にもいろいろとうわさのあった人でございます。岩手ホテル&リゾートの代表として、みずから経営しているホテルばかりを利用しております。余りありていなのでことしの3月31日にはやめさせられております。支出の内容を見ると、政治活動費の中身で会場費に294万9、208円、県政報告会会場費242万822円、鈴木稔氏政治資金パーティー会場費――この人はどこの政治家か私は存じ上げませんが――136万8、333円、SS会会場費276万738円となっております。知事は、高塚猛氏の経営するホテルがよほど気に入っているのか、または高塚幹事長が増田知事を大いに利用しているのか存じませんが、これはかなり臭い仲でございますね。」

「また柴田義春事務局長が社長であるところの第一商事は、平成11年度から13年度までは県庁舎の清掃事業をやっており、15年度は岩手県ビル管理事業協同組合が受託しておりますが、柴田氏は副理事長として実質的に切り盛りをしているのが現状です。この協同組合は隠れみのにすぎない。内部の人が言っていることを御存じですか。もちろん法的、手続的には問題はございませんが、これでは土建王国と言われるよりもっとあじゃらじゃありませんか。乱暴じゃありませんか。隠れみの王国と言われても過言ではございません。今後、県民は関心を持って注意深く監視をしていきたいと、こう思っております。」

(1)後援会連合会会長が県庁からの補助金支給先機関の長であること、(2)事務局長が県庁の事実上の清掃事業の委託先事業者であること、などが追及されています。後援会幹事長については、非常に有能な経営者として知られた方でしたが、その後は強制猥褻罪を起こして有罪判決を受けられた方でもあります。ちなみに、同幹事長の著作は「抱擁力―なぜあの人には「初対面のキス」を許すのか」という書籍名です。

なお、議事録を読む限りでは、当選1期目に建設会社から応援を受け、知事就任後に巨額の公共事業を行った増田氏ですが、3期目は大幅な歳出カットを実行した関係もあったのか、当選1期目に一生懸命応援したとされる建設会社が全面排除されていたようです。

増田寛也「個人の判断であり、行政上のかかわり・判断は明確に峻別」と主張

佐藤正春議員の質問について、増田寛也氏は下記の通り答弁しています。

<増田寛也氏>

「それから、後援会の関係でございますが、後援会の構成ですけれども、これは、その方の職業あるいはそのバックの業界がどうのこうのということではなくて、それぞれ個人の判断で加入をしていただいているというものでございますので、建設業界が入っていないというのはどういうことかということでございますが、そのほかも含めて、すべて個人の立場ということでございます。それから、その中のメンバーとの関係でございますが、特に会長、幹事長、事務局長の名前がございましたけれども、そうした役職にある皆さん方、それとあと行政上のかかわりというのは、また特に行政上の判断というのははっきりと峻別をされているものでございまして、また、そうした皆さん方、後援会の役員に就任をしておりますけれども、そうしたことが県行政に判断を与えるとかといったことは全くないと。当然、私もそういうことを十分に考えて行政を進めておりますので、はっきり峻別をされていると、こういうふうに認識をしております。」

ということです。増田寛也氏によると、後援会には個人の判断で加入しており、行政上のかかわり・判断については明確に峻別されているとのことです。

今回の記事は議事録を参照したことで公人でも言論人でもない方のお名前を取り上げておりますが、あくまでも県議会議事録という公文書での質疑応答の内容紹介という文脈で記事にさせて頂きました。

岩手県知事時代にどのような方が後援会幹部だったのかということは、東京都知事選挙出馬がほぼ確実になった情勢で都民にとって増田氏の人となりを知るための有益な情報だと思います。後援会幹部の所属を見れば政治家は大体どのような人物か分かります何を言っているかではなく、誰と居るのか、それが政治家のメルクマールです

上記の後援会人事と県庁の関係は法律上は適法なものであり、増田寛也氏の答弁を疑うわけではありません。読者の皆様に上記の議事録を読んで頂き、それらが実務派の「改革知事」として適切だったかどうかをご判断いただければと思います。

 

 

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