米6月LMCI、雇用統計に反し6ヵ月連続で低下

雇用統計

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米6月労働市場情勢指数(LMCI)は1.9ポイント低下し、市場予想の1.2より弱い結果となった。2009年4月以来で最低を示した前月のマイナス3.6(マイナス4.8から上方修正)からは、下げ幅を縮小。ただし、6ヵ月連続で低下している。6ヵ月連続でのマイナスは、サブプライム危機が火を噴く直前に低下トレンドへ突入した2007年5月から2009年6月までのサイクル以来初めて。米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が2009年以来の低水準から大きく改善したものの、LMCIはプラス圏へ切り返せていない。

景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで372.9ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから318.5ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、12ヵ月以内に低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。

LMCI、6ヵ月連続でマイナスに。
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(作成:My Big Apple NY)

――米新規失業保険申請件数と米6月雇用統計は良好な労働市場を示す半面、米6月LMCIは依然として金融危機以来の悪化を示します。米雇用動態調査では求人数の割に新規採用数が伸び悩むように、労働市場はまちまちな様子を見せています。労働市場が最大限の雇用に達しつつあるのであれば、雇用がハイペースで拡大する公算は小さい。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でも一因として指摘されていたように最大限の雇用に近づきつつあるほか、世界景気の減速に加えドル高傾向もありLMCIの動向は今後の減速を示唆しているかのようです。

(カバー写真:Sheila in Moonducks/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年7月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。