鳥越俊太郎氏は知事の座より命を大事に

池田 信夫


鳥越俊太郎氏の都知事選出馬会見は「憲法改正の流れを変えたい」とか「安倍首相はヒトラーのようだ」など、都政とは無関係な話ばかりで、記者団から政策について質問されると「これから考える」というお粗末なものだったが、最大の問題は「大腸癌から始まって肺、肝臓と4回手術しました。大腸癌はステージ4でした」と明言したことだ。

ステージ4というのは末期癌で、大腸癌の場合は5年生存率は15%、手術しても17.9%とされている。鳥越氏が手術したのは11年前だというから、この17.9%の中に入っているわけだが、他に3ヶ所も転移しており、5年生存率は肺癌が11.6%、肝臓癌が19.9%だから、鳥越氏が生存しているのはほとんど奇蹟だ。

癌が全身に転移しているということは免疫力も低下していると考えられるので、76歳の鳥越氏が知事のような激務をこなすと、癌の進行が早まるおそれが強い。都知事がオリンピックを前にして死んだりしたら、ぶち壊しだ。彼は立候補する前に、主治医に相談したのだろうか。また民進党などは、医師の診断書を取ったのか。

「安保法の廃止」など彼のいいたいことはわかるが、都知事になっても何の役にも立たない。酷暑の中の選挙運動だけでも、末期癌患者には大きな負担だ。それより選挙を辞退し、残り少ない命を大事にしたほうがいい。日ごろは「命を大事に」という左翼の人々が、こういう人命軽視の選挙運動をやるのは信じがたい。