なぜ「今回の都知事選は政策の議論が行われない」のか

2016年07月19日 20:01

塩村都議
<FBでの塩村都議の小池百合子不支持表明、だが・・・>

なぜ、東京都知事選挙のマニフェストのレベルは低くなるのか?

最初に断っておきますが、筆者は東京都知事選挙の主要3候補者をいずれも支持していません。その理由は各候補者が検討する価値もない政策集を発表しているからです。

それぞれのHPを見てもらえればわかりますが、小池氏は国会議員時代からの持論をほぼそのまま、鳥越氏は急ごしらえ感丸出しの代物、増田氏は総花的な政策をちょっと書いてみただけ、という感じです。

小池百合子
鳥越俊太郎
増田寛也

主要3氏ともに気が利いた大学生なら1時間程度で作れるレベルの内容を発表しています。「これで都庁13兆円組織のトップ?いい加減にしろ」というのが都民としての正直な感想ですね。

そのため、今回の選挙は「政策」ではなく「各候補者の過去の履歴」を追うことが有権者にとって重要な要素となってくるわけです。

小池氏の国会議員時代の言動、増田氏の岩手県知事・総務大臣時代の実績、鳥越氏のジャーナリストとしての見識や現在の健康問題などが厳しく問われています。

政策の話ができる状況ではないのだから仕方がないですよね。

都知事選候補者の「政策が腐っている」理由は「都議会議員が働いてない」から

各都知事候補者の政策が「大学生の作文」になっている理由は明白であり、それは彼らを推薦した都議会議員が仕事をしていないからです。

都議会議員は年間・年間1500万円の議員報酬を受け取っています。この他に政策の企画・立案を行うために政務活動費も月額60万円・年間720万円も受け取っています。手当なども入れると年間・約2300万円、議会出席拘束日数は100日、つまり政策立案をじっくり行うための報酬も時間も用意されているわけです。

本来であれば、東京都知事選挙に際して、都議会各会派が党推薦候補者の政策集を「極めて高い水準で常備できる」レベルで活動していることが当たり前です。

これは大会派であろうが一人会派であろうが一緒であり、東京都知事選挙に対して自会派の包括的な政策提言集をまとめて、それに基づいて支持・不支持を決定することが常識なのではないかと思います。

この一点だけを見ても東京都議会が機能不全に陥っていることが明らかであり、現状の都議会を解散して、そのメンバーを入れ替えることが望ましいことが分かります。

「ファクトベースの議論」という最低限のレベルをクリアできる都議会議員が必要

今回の東京都知事選挙に対して、都議会議員さんたちも様々な情報発信を行っている状況です。しかし、候補者の過去の実績検証とは公文書やメディアでの「本人の発言」を引用する形で行われることが最低限の作法ではないかと思います。その上で自らの見解を添えて嫌みの一つでもつけるべきでしょう。

筆者も色々情報収集していますが、下記に都議会議員による情報発信として、ダメな事例として一つ取り上げたいと思います。それは塩村あやか都議会議員が小池百合子氏の不支持を表明した際のFB記事です。

「私が小池百合子候補を応援できない理由」と題されたFB記事(全体公開)ですが、明らかに事実混同された内容が含まれたものとなっています。(本人は事実誤認ではないと主張している点は触れておきます。)

塩村都議が小池氏を問題視している証拠は、13年前にVOICEという雑誌で小池氏が現代コリア研究所主任研究員・西岡力氏と杏林大学教授・田久保忠衛氏と対談した記事内容として小池氏のHP上に転載された際の記事文言です。

この記事中で塩村都議が不支持理由として指摘している「東京に米国の核ミサイルを」という文言は、池氏の発言ではなく西岡氏の発言です。このことは読めば誰でもわかることであり、この小見出しも雑誌編集部による編集をそのまま転載したものであることは一目瞭然です。

この点について、上田令子都議の支持者の方が「小池氏の発言ではない」と指摘したところ、塩村都議は

「ホームページに掲げていること、彼女のこれまでの思想と違わないことを書いたものですが、小池氏を応援する議員関係者よりご意見頂きましたので「言動」→「思想」に変更します。思想については「日本の核武装構想について」の候補者アンケートに「国際情勢によっては検討すべきだ」と小池氏は過去の衆院選時の新聞アンケートに回答しています。」

と自らの見解についての弁明をされています。

正直言って、政治敵に対立されている方々の話なので、主張の内容としてはどっちもどっちだと思います。

ただし、雑誌の転載記事上の他人の発言がHPに掲載されていること、過去の直接的な関係が薄いアンケート結果の引用だけ、では小池氏の政治姿勢を断定するだけのファクトとしては弱いと思います。大学生のレポートなら単位がこないレベルです。

この程度の根拠で東京都議会議員という重要な立場での支持・不支持を表明するようでは、現状の都議会のレベルも与野党問わず知れていると思わざるをえません。現役の都議なら小池氏に「東京に米国の核ミサイルを入れるおつもりですか」と直接聞いて報告するくらいの責任感と行動力が必要です。

各候補者の過去履歴をガンガン詰める投稿を行うことは良いことですが、高額の議員報酬と活動費を使いながら、都議会議員の言動がこの程度のレベルかと思うと呆れざるを得ません。

東京都議会議員は「東京都知事選挙の候補者に対する政策集」を発表するくらいしてほしい

東京都議会議員の皆様が自らの理念を持たれて活動されていることは理解しています。前述の塩村都議も動物愛護について熱心に活動されていることは普段の情報発信からわかる次第です。

しかし、東京都議会議員を務める方々は「最低限・会派として」東京都知事選挙に対する政策集を提出し、それらに対する主要候補者からのコミットを発表するくらいのことは、東京都民に対する都議会議員としての義務だと思います。一人会派でもそれができるように十分な報酬と活動費を東京都民は負担しています。

東京都知事選挙について政策的な情報発信がほとんど行われない原因は「都議会議員が働いていないから」に他なりません。

ファクトに基づかないくだらない主張に時間とお金を費やすのではなく、日常的に取りまとめた政策集を掲げて都知事候補者と交渉する姿を見せれば、自らの主張が今なら大々的にメディアにも取り上げられるチャンスにもなったはずです。

なぜなら、候補者の政策はスカスカなので、ほかに政策的な話題のネタなんてほとんど無い状況だからです。

以上、都知事選挙で政策議論が行われない理由は「東京都議会議員が何も仕事をしていないから」だと思います。選挙結果次第で今年か来年の東京都議会議員選挙ではこのことを忘れずに投票に当たってほしいと思います。

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