ネット世論、自民都連の次は高野連を襲撃

2016年08月05日 06:00

どうも新田です。オリンピックイヤーの甲子園ほど“つまもの”感漂うスポーツイベントはないと思いますが、高野連が、女子マネの練習参加制止問題という“らしさ”を発揮してくれたおかげで、多少は大会へのアテンションにつながるんでしょうか。

批判を受けてさすがにヤバイと思ったのか、高野連もここにきてどうするのか検討している模様です。社会的批判を受けて、後手に回るのはもはや風物詩みたいなものですが、興味深かったのは、高野連ステークホルダーである朝日、毎日両紙の報道に時代の流れを感じさせる記述があったことです。たとえば、こちら。

(毎日新聞)甲子園女子マネ なぜ女子ダメなのか…ネットでも批判続々

7日開幕の第98回全国高校野球選手権大会の甲子園練習に女子マネジャーの参加が認められなかったことが波紋を呼んでいる。インターネット上を中心に批判的な意見が相次いでおり、日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長は4日、男子のみに限っている規定の是非について検討する考えを示した。

太字の部分から「ネット世論」を意識していることが分かるわけですが、朝日に至っては同じ「議論が巻き起こっている」系のレポート記事でありながら、ネットでの批判についての記述部分を項目の一つに立てております。

(朝日新聞)女子の練習参加めぐり議論 甲子園練習、女子マネジャー手伝い制止 高校野球

■ネット上、批判の声

インターネット上では批判的な意見が飛び交った。

ツイッターでは、元陸上選手で世界選手権男子400メートル障害の銅メダリスト為末大さんが「世の中と最もずれている競技になりつつある」と反応。マジシャンのふじいあきらさんは「これってなにがいけないの? 危険って性別関係無いじゃん。即刻見直すべき」。脳科学者の茂木健一郎さんは「高校野球自体はすばらしいスポーツの祭典」としながら「謎の様式美、禁則が多すぎますね」とつぶやいた。

フェイスブックでも「男女区別なく怪我(けが)をする時もある」「ヘルメットをかぶれば、当たり前に認めるべきだ」「男尊女卑思考をいつまで引きずるのか」など性別がもとになっていることに疑問視する声が目立った。「男尊女卑のつもりでやったわけではないと思う。ただ、結局、女子の危険回避能力がないだろうという考えに基づいている。自己責任でいいのでは」などの声もあった。

なんだか、ここの部分だけを見ていると、Jキャストの記事みたいな感じですが(笑)、高野連、そして大会の共同主催者である朝日、後援企業である毎日も高校野球の記事において、かなりネット世論を意識するようになったというのが印象的です。

「世論」の中身が変わった

ひところ前の報道で「高野連の対応に世論の批判が集まっている」的な記事があると、そこで言う「世論」あるいは「社会的批判」というのは、基本はマスコミで醸成された世論や、あるいはリアルで起きた批判(抗議電話、学校現場の反応等)を指していたものです。高野連がいくつか直面した歴代のクライシスでも特に深刻だったのが、2007年の私立高野球部員への特待生問題(どんな問題だったかはこちらを参照)。勃発時には、社会部都民版の記者として都内の私立高関係者を取材、そして同年夏に運動部に異動した後も高校野球担当として高野連本体も含めて取材して記事を書きましたが、実感を込めて振り返ると、記事を書いている側としては、ネット上での批判は確かに2ちゃんやミクシィあたりでの盛り上がりは脳裏に浮かんではいたものの、新聞記事として紹介できるだけの「世論」ではありませんでした。

このあたり9年の歳月の流れを痛感します。SNSが普及し、為末さんクラスのインフルエンサーが個人メディアを持って、ネット民の世論を方向付け、あるいは権威付けする。ネットメディアが台頭して世論の発信源として一定の影響力を持つようになり、スマホとキュレーションアプリの普及で拡散し、ネットをあまりやらない世代にも情報が伝播して口コミ効果も強くなっていく。マスコミの現場の記者たちも情報収集で、ネットを使うのが当たり前になっておりますし、いやはや時代が変わりました。

9年前の高野連と都知事選のデジャブ感

先日、自民党のネット世論分析を担当されていた小口日出彦さんの講演を聞きに行ったのですが、彼の著書「情報参謀」によると、民主党政権下の2010年頃には、ネット炎上から政治家の首を取るだけの流れが出来ていたことがわかります。

この前の東京都知事選でも、見識のある書き手が特定候補者のネガティブ報道記事を書いたり、某元都知事がネットメディアで“爆弾発言”インタビューをやったりして、その内容が拡散。一部はリアルの口コミへとつながり、投票行動に一定の影響を与えたのではという仮説が出ておりますが、この先どうなんでしょうか。

きのうのブロゴスでは午前中の上位ランキング10個の記事のうち過半数が自民党の東京都連バッシング関連でしたが、ネット民の矛先は都連から高野連に変わっていくのでしょうか。9年前に高野連の事務局長だったTさんは、まさに某都議会議員みたいなラスボス扱い。週刊誌に「甲子園利権」だの「高野連所有車のプライベート使用」だの書き殴られてたなぁ(遠い目)。な、なんだ、このデジャブ感….。

いまの高野連はそこまで強烈なキャラはおりませんし、移ろいの激しいネット世論の標的探しは、早晩リオデジャネイロ方面に向けられるんじゃないでしょうか。ではでは。

<関連記事=個人ブログ>

・朝日記者が死んでも書きたくない甲子園の増収策
http://nittatetsuji.com/archives/30460460.html

・清原のバット撤去?それって高校時代のモノでしょ?
http://nittatetsuji.com/archives/46753359.html

・産経の盲従的「甲子園」礼賛記事を球団…いや糾弾する
http://nittatetsuji.com/archives/30766447.html

 

情報参謀 (講談社現代新書)
小口 日出彦
講談社
2016-07-20

 

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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