90.6%のビジネスパーソンが重視するスキルとは

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「M1・F1総研」が昨年発表した「仕事で必要なスキル」に関する調査によると、20~40代の社会人90.6%が「状況判断力」を重視していることが明らかになっています。

「状況判断力」はビジネスパーソンにとって重要なスキルの一つです。あらゆる局面において状況を的確に判断することは、相手との交渉力を高めることにつながります。

●交渉は「お願いする方」「お願いされる方」の2者が存在する

ビジネスにおける交渉は「お願いする方」「お願いされる方」の2者が共存することで成立します。そして必ず立場の優劣が存在します。

営業マンであれば、売り込みに行くほうが「お願いする方」であり弱い立場です。一方、売り込まれる方は「お願いされる方」であり立場が強くなります。アポイントを獲得して訪問するのは売り込み側であり、訪問される側は待ち構えています。決められた時間に遅れていけば、相手は快く思いません。

「お願いする方」であっても立場が強い場合があります。私は取材記事を書くことがあります。通常は取材する側が「お願いする方」になります。ところが、アゴラの記事は大手メディアに取り上げられる可能性が高くなるので、それを知っている人は「お願いされる方」であるにも関わらず丁重です。

また、あらゆるビジネスの場面では名刺交換がおこなわれます。「お願いする方」「お願いされる方」というくくりで考えるなら、訪問した側はお願いする立場なので、先に名刺を出すものです。

相手はお願いされる立場ですから一歩遅れて名刺交換の動作にはいります。これは自分の経験を振り返れば分かりやすいと思います。相手が出した名刺に返すなりで名刺を差し出すことがわかるはずです。

他にも、G7などの首脳会議の際、ホスト国や大国といわれる国のトップは、自ら握手を差し出します。例えば、米国のオバマ大統領は相手より先に握手を差し出し力強く握り合います。席に着く際には、相手の背中に手をあててエスコートする仕草をします。

この演出は秀逸です。態度や立ち居振る舞いのみでどちらが強いか誇示できるからです。さらに、余裕があることも印象付けられます。

選挙を思い浮かべてください。街中で候補者が演説をして有権者と握手するシーンで力強く握手をするのは候補者です。お願いする側が力を込めて握手をするのが候補者です。

●相手との優劣を理解する

ビジネスでは常に優劣が備わっています。強いものが弱いものを巻き込み買収をします。強い権限のあるものが決裁権限を行使して人事権を掌握します。

部下は上司をクビにできませんが、上司は部下をクビにできます。踏み倒されたり騙されるのは、強いものではなく弱い立場のものが多いでしょう。

私たちの世界は優劣によって成立します。例えば、あなたが法人営業の仕事をしていて「いまの担当者とはうまくいっているから大丈夫!」と考えていたら要注意です。

担当者が異動したり退職したらどうするのでしょうか。どんなに信頼関係が構築できていたとしても人間関係を引き継ぐことはできません。ビジネスを上手く展開させるためにも状況判断力を養うことはとても大切なことです。

尾藤克之
コラムニスト

PS

7月26日開催の「第2回著者発掘セミナー」は好評のうちに終了しました。多数のご参加有難うございました。なお、次回以降の関連セミナーは8月末頃に公開する予定です。