反原発派というファシスト

2016年08月22日 21:11

経済産業省の敷地内に5年前から反原発派が泊まり込んでいた「脱原発テント」が21日未明、撤去された。立ち退きを命じた判決が7月に最高裁で確定したためだが、朝日新聞はこれを「寝込みを襲うとは卑劣」と報じ、国会議員までこうツイートしている。

このように反原発派に「法や論理を超える正義」があるという発想は、戦前の日本のファシズム運動と共通だ。たとえば徳富蘇峰は1935年に、天皇機関説について「未だ美濃部博士の著作を読まない」と前置きして「天皇機関説などという、其の言葉さえも読者はこれを口にすることを日本臣民として謹慎す可きものと信じている」と美濃部を攻撃した。

理屈も何もない。天皇について「機関」という言葉を口にすべきではないというのだ。理屈がないのだから、反論のしようもない。しかし文部省はこういう脅しに屈して「国体の本義」を定め、美濃部は貴族院議員を辞職した。

日本のファシズムの特徴は、ヒトラーのようにファシストが権力をとったのではなく、徳富や蓑田胸喜のようなファシストが論理を超えた言説を振り回し、法を超える暴力を行使し、それに朝日新聞を初めとするマスコミが同調して、軍や官僚機構の中でファシストに同調する人々が勢いを得たことだ。

反原発派も30年代のファシストと同じく、法を無視して実力行使し、官僚はマスコミを恐れて彼らに対抗しない。このため5年も都心で無法状態が続き、菅直人が思いつきで止めた原発が、法的根拠もなく5年も停止したままだ。それを賞賛する朝日新聞は「立憲主義」の意味を知っているのか。それは法を超える権力はないという意味だ。

このように日本の官僚が既成事実や「空気」に弱いことを知っているから、中国は尖閣諸島で挑発を繰り返し、韓国は慰安婦像を撤去しないで10億円だけを取ろうとしている。戦前の日本を取り返しのつかない破局に追い込んだのはファシストではなく、こういう事なかれ主義の官僚だったのだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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