2016/08/18 NHKニュースにて、以下の動画が流れた。
https://youtu.be/kwoEjfpPnTY
母子家庭にいる女子高生杉山麗さんが、中学校のパソコンの授業で、自分の家にパソコンがないために、授業についていけないハンディキャップがあったことや、自宅にエアコンがなくて、氷を首のまわりに巻いて暑さをしのいでいるとかいうようなエピソードが紹介され、さらに、「子どもの貧困問題「を話し合う市民団体でスピーチをしたことが収められている。
NHKの解説によると、彼女はアニメのキャラクターデザインが学べる専門学校への進学を希望していたが、学費が払えなくて断念した。それが哀しい。誰でも好きな進路を選べるようにしてほしいと思っているのだそうだ。
ツイッター界隈では、「画面に出てくるキャラクターグッズが異様に充実している」「本人のtweetから推測される暮らしぶりは、とても貧困とは思えない」というような非難がなされているのだが、自分の感想は少し違う。アニメグッズやゲームソフトやコンサートチケットは買えても、パソコンやエアコンのような少し値の張る耐久家電が買えなかったり、専門学校に進学できなかったりすることは、確かに貧困だと思う。他の家庭の子女は、親の資力で、それらを手に入れているのだから。
しかし、杉山麗さんが、自分で貧困を克服しようとしないことが、おかしいと思う。
貧困階級の子女がクラスアップをしようとしたら、教育投資をするしかないのだが、彼女の進学希望は「アニメキャラのデザインが学べる専門学校」である。
アニメ専門学校の学費は、200万円から300万円、就学期間は2年間である。逸失所得も合わせて考えると、パソコンの100倍以上も金がかかる。
代々木アニメーション学院
この種の専門学校を卒業しても、教育目標の職業に就ける可能性はほとんどない。大半の学生は、金と時間を浪費するだけである。この進学は、貧困の再生産である。
金と時間が余っている富裕層なら、それでいい。しかし、自分が貧困である、貧困を克服したいと思っている杉山麗さんが選択する進学先としては、いささか浮ついていないだろうか?
貧困階級にいることは悪いことではないし、誰も非難しない。失業していたり、病気や障害や老齢で働けない人には福祉が与えられてしかるべきだろう。
しかし、まだ若く、能力開発機会がある若い人が、貧困救済を社会に求めるのであれば、相応の自助努力をする義務があるのではないか?
井上晃宏(医師)