王貞治と蓮舫の「中華民国籍」の秘密

2016年08月31日 07:00

「蓮舫にまさかの二重国籍疑惑」については、夕刊フジの記事(電子版)と、アゴラの記事、いずれも大好評をいただいている。いまのところ大手メディアは、追随してませんし、こんな国家をゆるがす大問題をプライバシーの保護だというのか、自主規制するような社会は病んでいる。国籍のことに神経質なことこそ、国際感覚がある証で、そんなことはどうでもいい、本質でないなどと言うのは、ガラパゴス的思想の持ち主だ。

ともかく、この問題は、蓮舫さんが中華民国籍の離脱をいつしたかを表明し、文書で証明してくれればいいだけのことだ。記憶にないわけであろうはずがないし、お母さんの証言からも手続きをしたのは、本人だから、分からないはずがない。

それがないなら、二重国籍の疑惑ありといわれても仕方ないのだ。二重国籍問題一般については、近日中に取り上げるが、蓮舫さんと同様の方法で日本国籍を選択したケースで、国籍離脱を怠り、違法に二重国籍のままの人は少なからずいるのが現実で、ありそうもない想像ではない。

ところで、蓮舫さんの国籍について、「台湾国籍」と「中華民国籍」というふたつの表現がメディアである。

そして、この問題で誰しもが思い出すのは、日本の国民的英雄である王貞治さんだ。この王さんのケースと蓮舫さんのケースを比較すると、台湾についてのいろんな問題が浮かび上がってくる。

王さんは中華民国籍だ。ただし、台湾とは関係ない。1940年(昭和15年)に、東京の現墨田区で、で中華民国籍(浙江省浙江省麗水市青田県)出身で1922年(大正11年)に渡日した、王仕福さんと、富山県氷見市出身の(旧姓: 當住)登美さんの次男として生まれた。

ただし、このとき難しい時代で入籍していなかったので、戦後に入籍するまでは、お母さんの戸籍に入って日本国籍だったとも言われている。

お父さんの故郷はその後、中華人民共和国政府が支配するところとなったが、お父さんは国民政府寄りで、中華民国籍を維持した。このために、王さんも中華民国籍だった。

そして、王さんも台湾で「棒球英雄」としてもてはやされ、たびたび、台湾を訪れて国民的英雄とされた。しかし、日中国交回復で微妙な立場に立たされることになり、日本人女性と結婚もしたのだが、国籍の変更はしなかっただ。

こういう立場なので、王さんを「台湾人」とか「台湾国籍」というのはいかにもおかしいので、まさに「中華民国籍」なのだ。

どうして、帰化しなかったかといえば、真相は不明だが、お父さんの気持ちを尊重していいたといわれる。ただ、もしかすると、台湾では兵役義務があり、国籍離脱を制限していたから、それも関係してたかも知れない。

また、国民栄誉賞を受けたときは、日本人でないのになぜと論争になった。

ただ、王さんは国籍はともかく、野球人としては、日本人という意識でいるようだ。WBCの監督として海外遠征したとき、海外メディアから、「あなたは日本人ですか?」と質問された際(日本のマスコミは自己規制して聞かないからおかしい)、王は「父は中国人だが、母は日本人です。私は生まれたときより日本で育ち、日本の教育を受け、日本のプロ野球人として人生を送ってきました。疑うことなく日本人です」と答えている(wikiより)。

王さんとしては、当時の規定で、早実高校時代に国体に出れなかったという残念な経験はあるが、日本、台湾のどちらでも国民的英雄とされ、世界の華人のなかの偉人としても尊敬され、また、そういう三つの立場を気持ちよく説明しているし、だからこそ、日本人、台湾人、中国人、(民族としての)華人のいずれもから好感を持たれている。

さて、蓮舫さんの場合はどうかというと、国籍の問題を論じるなら、やはり中華民国籍だったというべきで、台湾籍というのもおかしい。台湾では現在の与党である民進党は独立を綱領に掲げたままだし、正名運動といって、企業などさまざまな組織などの名から中国というのを追放しようという動きがある。

しかし、台湾の内部でも大陸との関係でもこの運動は公認を得ておらず,五輪でもチャイニーズ・タイペイだ。その意味では、いまのところ、国籍の問題としては、あくまで中華民国籍だし、大陸に行けば、外国人という扱いではない。

また、中華民国籍の人は「外国人登録」で「中国」とだけ書かれていたが、2012年7月の在留カード制度導入に伴い、中華民国国籍保有者は「台湾」と表記されるようになった。ただし、日本政府はひとつの中国の原則にあいかわらず立っており、たとえば、中華民国籍の人を「中国人」と表現しても、誹謗中傷とはいえない。

あるとしたら、明確な台湾独立派の人だが、蓮舫さんがそういう立場とも聞かない。

 

※編集部より;画像は王氏がベースボールマガジン社のサイト、蓮舫氏はWikipediaより引用

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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