蓮舫二重国籍についての法務省見解はこうだ(増補あり)

2016年09月15日 08:00

蓮舫さんの二重国籍問題について『蓮舫の中華民国籍は中華人民共和国の国籍法によって無効になっているので二重国籍でないというのが法務省見解』という非常識な虚言がなされていましたが、法務省はこれを強く否定し、それを報道した各社に撤回を要請しました。

日本経済新聞によれば、『台湾出身者に中国法適用せず 蓮舫氏問題で法務省見解:法務省は14日、日本の国籍事務では「台湾の出身者に中国の法律を適用していない」とする見解を発表した。民進党の蓮舫代表代行の「二重国籍」問題を受けたもの。外国籍を取得した時点で中国籍を失う中国の法律を適用する立場にないとした。蓮舫氏の国籍問題では、蓮舫氏に中国の法律が適用され、日本国籍取得時点で台湾籍を失ったとの見方が出ていた』。

この問題について、アゴラと夕刊フジの編集部とともに、昨日、法務省へまいり、話を聞きましたが、非常に難しい専門的な話で、マスコミ各社も難渋しただろうと思います。しかし、結果として、ミスリーディングな報道が行われたことはまちがいありません。また、民進党の示した法務省見解なるものを勝手に解釈しての言い逃れはお粗末だったとしかいいようがない。

それでは法務省が私たちにいったのはどういうことだったのかといえば、学生時代のゼミでの議論のようで、一般の人にとっては禅問答のようなことになった。それを一般の人に分かるように説明するのは難儀なのだが、私なりの理解を紹介しておきたい。

まず、蓮舫さんの場合、中国国籍法が適用されるという法務省見解は事実でないので、修正をお願いしたということだった。いわゆる二重国籍状態は、「法的義務に反した状態」だという。これを違法というのかといえば、法務省はそういう切り口ではものをいわないという。つまり、「違法だ」とも「違法でない」とも彼らは自分たちでは「いわない」というのだ。つまり、違法だというのは素人の議論での表現の問題の話で、法務省の人は使わないということらしい。だから、誰かが違法だといったら、そういう表現は一般には使われるが、正確でないというならそのとおりだし、違法ではないというは間違いということだろう。

中国と台湾どちらの法律が適用されるかどうかということについては、法務省としては判断を下す立場ににないということだ。つまり、たとえば、蓮舫さんのように日本国籍選択宣言をしたとして、他の国籍を解消することに「努め」ねばならない。努めねばならないという程度は、精神規定のようなものではまったくないが、一方で不可能でなければやらねばならないというほどには強くないという。よほど難しい事情があれば仕方ないということか?そういう意味では蓮舫さんのケースではそういうものはないわけだが。

それでは、蓮舫さんのような台湾籍の人が国籍選択宣言をした場合は、どうすればいいのか。それは、もうひとつの国とのあいだでやるべきことをすればよいのであって、その相手がどこか(中国か台湾かとかいうこと)とか、自動的に無効になっているかどうかとかいうのは、法務省の判断することではないというのである。それから、父母の国籍が違う場合に行うべき国籍選択を、①相手国からの国籍離をしたうえで日本に届け出するという形か、②日本政府への選択宣言でやるべきかは、二重国籍を認めてないという法律の趣旨からいっても①ですることが望ましいのは当然だが、②であってもだめだというわけではないということだ。

まだ続きがあるのだが、とりあえず、その一部を紹介した。

(増補:9:30)

奇異な国籍行政

国籍選択宣言の場合にもうひとつの国からの離脱手続きについて、市町村にどのような説明をするか指導しているか聞いたが、していないとのころだった。当方から、どのような説明を受けたか、また、そのことについて質問をされた場合についてどういう対応をしているかいくつもの実例を挙げた。そうしたところ、少し調べてみるので時間をくれということであって、しばらくのちに、電話でいくつかの自治体に聞いてみたが、対応はまちまちのようであるとのことだった。 

2006年の衆議院法務委員会で杉浦法務大臣が枝野委員に対して答弁し枝野委員が賛意を示した、台湾の人に対しては国家承認の有無にかかわらず、台湾の法が適用されるという答弁は国籍法にも適用されるのかわかりにくいが?」との質問に対しては、この答弁は私法についての問題であり、国籍法の問題はその範囲に入らないと理解しているとのことだった。

「それではここで示された考え方は公法の場合にも共通した部分があるのではないか」との質問には、「この答弁については私法についての見解だという以上はいえない」とのことだった。つまり、あらたな質問が出たときに見解は示すということだった。いうまでもなく、問題には共通した部分と共通しない部分があるわけで、その共通した分は変化しないのだから、それを是非、枝野委員にあの質問のときと同様に台湾の人の立場に立って、次期国会で質問してほしいものだ。 

「外交官にのみ二重国籍が禁じられることはとういう意味か?」「国会議員に二重国籍を禁じていないのは二重国籍者の立候補を想定していないのか禁ずる必要はないと判断しているのか」「旅券法にいう他の国籍を報告することに違反するとどうなるのか?」という質問については、「法務省において見解を示すべき問題ではない」とのことだった。 

全般的にいって、このような問題について、市区町村に法律的解釈、窓口でどのような説明をするべきかが支持されていないというのは、奇異である。国家主権の根幹にあることだから、しっかり対応するべきだ。これは現与党だけでなく、野党も民主党政権時代だけでなく、細川・羽田・村山・橋本・小渕(自由党)の時代に政権になにがしかの形で参加していたのだから責任があるわけで、今回の騒動を機に考えて欲しいところだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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