リクナビNEXTが実施した「好き&嫌いな上司部下ベスト10」において、職場に「嫌いな上司がいる」と回答した人は30.7%に上ることがわかりました。また、嫌いな上司の条件第1位は、「責任から逃れようとする」が全体の77%とダントツの1位でした。
「責任を逃れる上司」の存在は企業であれば一定数は必ず存在するものです。別名を「ハシゴを外す上司」と称されることもあります。また、責任を逃れるということは、誰かがその責任をかぶらされることを意味するので大変です。
■ハシゴを外す上司には気をつけろ
ハシゴを外すという言葉があります。上司の許可のものに物事を進めていても、結果が思わしくない場合、途中で逃げてしまうような上司のことを指します。例えば次のようなケースはありませんか?
ある社長肝いりの新規事業が承認されてスタートになりました。ところが、待てど暮らせど大型案件は決まりません。売れるのは小口案件ばかり。それどころか、上司は「好きにやっていいぞ!」と指示を出して、自分は自らの仕事にまい進する有様です。
「好きにやっていいぞ!」と言われれば、皆な信頼されたと思い当初は感激しますが、何回かハシゴを外される経験をすると皆な経験値があがります。痛い目にあっているうちに、上司は信頼を無くしていきます。
部下はいつものことかと思い一計を案じます。上司の腹を探りたいのです。部下は上司に質問を投げかけました。「○○部長、今回の新規事業の導入をしているA商事ですが、商品のクオリティが低いと文句を言ってきました。部長からもご連絡してもらえませんか?」。部長は、あっさりと、「オレは関係ないから。まあ上手く頑張るんだな」と、さっさとハシゴを外してしまいました。
この時に「責任はオレがとるから頑張れ。クオリティ改善の件はどうにかする!」とでも言ってくれれば、雰囲気も変わってきますが、上司がこれでは話になりません。メンバーは全員そっぽを向いてしまいました。
この場合は、クオリティが低いとA商事が言い出す前に、上司に報告する必要性がありました。日々の進捗を報告していれば、上司も同じタイミングでトラブルを把握することになりますから、逃げることができません。
■卑劣な上司には距離をとれ
さて、問題はこのような上司の時にどこまで付いて行くかです。まず、一定の距離をとることが必要です。このような上司には、成功は自分のお陰、失敗は他人のせいという意識が働いています。
このような上司と付き合っていても、成功することで美味しい思いをするのは上司で、失敗をして痛い目にあうのは部下になります。
とりあえず上司なので会社のルールとして従うことは当然です。また、上司に嫌われたら仕事がし難くなるばかりか、将来がありませんから、表面上は関係性を装っておく必要があります。実は、この時、やらなければいけないのは、他部門に保険をかけることです。
会社というのは競争社会です。上司である部長は、他部門の部長からすればライバルであることを忘れてはいけません。他部門の部長が食事をしていたら近くに座る、挨拶をする、自分から積極的に働きかけることで親しくなれば良いのです。
相手も他部門の動向は気になりますから、嫌な対応はしないでしょう。「今度の新しい新規事業は遣り甲斐がありそうだねえ」「部長がいいお客さんの筋を抑えているからうらやましいねえ」。このような探りをいれられても本音を語ってはいけません。
あくまでも謙虚に「私は部下として仕事を精一杯こなすだけです。何かありましたら今後ともご指導ください」。質問に対する答えはこれで充分なのです。
上司のゴシップや部門の詳細にわたる話、人間関係などについて論評することは危険行為です。相手に、「口が堅い」「信頼できそう」と思わせなくてはいけないので、余計なことは話してはいけません。
また、相手に好感を与えておけば、いざという時にも拾ってもらえる可能性があります。自らが、社内で生き残る策をプランニングすることが大切なのです。
皆さまも、自分の行動を振り返り、十分注意してみましょう。
尾藤克之
コラムニスト
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