あれだけ騒がれてもザックリしすぎの決算概要に脱力

上田 令子

 都議会は明日閉会し、いよいよ決算モードに入っていきます。私は「平成27年度各会計決算特別委員会 第1分科会」←不親切なHPで、何を審査する分科会なのか明記されていませんがこの点も指摘できる私の担当部局は、議会局財務局総務局政策企画局青少年治安対策本部会計管理局主税局選挙管理委員会事務局人事委員会監査委員となっております。
 東京都の決算委員会は予算委員会と違い、知事は同席せず、知事部局を中心にした各会計決算特別委員会と公営企業会計決算特別委員会と分科会形式で行われます。
 去る10月5日の私の一般質問において
「行政は予算主義になりがちでして、成果をフィードバックする決算なくして予算編成はできようもなく、本来は決算主義であるべきです。ついては、今般の決算審査にどう臨むのか、知事のご覚悟をお示しください。」と確認をしましたところ
「決算は、予算に計上された施策や事業の執行結果を計数的に明らかにして、行政目的が効果的、効率的に達成されたかどうかの判断材料を都民に提供するものであることはいうまでもありません。
 そして、これから始まる都議会によるこの決算審査を通じて、都としても、施策や事業の成果、そして課題を具体的に検証し、今後の予算編成に生かすなど、PDCAサイクルを踏まえた取り組みにより、都民ファーストの都政の実現を目指していくところでございます。」
との答弁を頂いております。
 昨年の決算の時に「かがやけTokyo会派の委員(注:お姐のこと)から、26点の資料要求がされた(中略)次の委員会までにその資料を提示する理事者側は大変」「普段から用意してあるものであれば、確認して渡せばいいのだろうが、過去云年分とか、これこれに分類して、などの注文がつけば、要求資料をその都度作成していることの方が多い」と他会派都議よりご指摘を受けたことはございます。しかしながら、都民の代表の都議会議員の視点で要求した資料を、理事者(お役所)がゼロベースで資料を作成することで自分達の中にかはなかった、都民ファーストの新たな視点を職員が気づく、持てることになりますし、何よりも議会正式資料となり都民への情報公開にもなるのです。ですので「都民ファースト」の新知事体制のもと、今回も適宜適切に資料請求をし、決算期間の実態・状況や数字を把握して決算審査に張り切って臨む所存です。
(資料請求が大事なのかまとめた過去ブログ「資料要求」に議員力が現れる。もご一読下さい。)

 と、まあ張り切っている矢先の本日、議会局の経理担当課長から届いた、ひざカックン資料がこちらです。

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 舛添前知事の豪華絢爛ファーストクラス&スィートルーム都市外交が指摘され、ブーメランで返ってきた、報告書もなかったロンドン視察や、都民の目線にこらえきれず中止にしたリオ五輪視察。遠い昔のことのようですが僅か4ヶ月前のことです。これだけ、都議会の支出のあり方が問題が取り沙汰されたのに、こんなペラ一枚のザックリしたもので、決算執行の是非が問えようもなく款・項・目まで出してもらい必要とあらば節まで要求予定です。

 議会局のみならず、全庁に渡りざっくりしすぎな都庁予算書・決算書。お姐は、文書質問等でことあるごとに改善を求めてきました。そのやり取りは以下の通り。お忙しい皆様は「お姐超訳」のみお読み下さい(笑)。

【見やすい予算書・決算書について】(平成27年第二回定例会)
 東京都の行政サービスにおいて、政策立案(計画立案・予算編成)→事務事業実施→行政評価→施策・事業事務の見直しというサイクルがどの部局、どの事業においても行われていると思われます。平成26年第四回都議会定例会文書質問の一の4の質問の回答においても都は毎年度、予算編成の一環として事業評価を行い、決算状況などを厳しく検証した上で、その結果を予算に的確に反映するとお答えいただいております。やはり、予算編成において重要なことは事業評価、行政評価であると考えます。その上で以下について、質問を行います。
1 予算編成において、行政評価が最も重要なものになると考えます。豊島区では、行政評価の評価方法に成果指標、活動指標のほか、必要性・有効性・効率性といった評価項目を設定しております。都は平成26年第四回都議会定例会文書質問の一の4の質問の回答において、事業評価を行い、予算編成に的確に反映するとお答えいただいたが、都における行政評価の評価方法は豊島区のような評価項目は設定しないのか。
(お姐超訳:いろいろ言い訳してるけどざっくりし過ぎてんですよ。PDCAサイクルなどちゃんとやってるようには思えない。豊島区のようにきめ細かい資料をつくるべし!)

回答
 都の事業評価は、かつての財政再建推進プランによる見直し努力を財政再建後も継続していくために再構築した制度であり、現在では、現場の視点に基づく自主的、自発的なマネジメントサイクルとして都庁全体に定着しています。
 具体的には、個々の事業について、必要性・有効性・効率性といった観点から、成果や決算状況などの検証を行うとともに、施設整備評価や情報システム関係評価といった専門的な視点による評価を実施し、より多面的な検証を行うことで、一つひとつの事業の質の向上を図っています。
(お姐超訳:東京都スタイルでやってます。各局ごとに…)

2 豊島区においては、すべての事業に対し、事業の所管課が評価するとともに、庁内評価プロジェクトチームが点検・精査することで、最終的に区としての方向性を明確にしております。その際、各事業の拡充、現状維持、改善・見直しのうえ継続、縮小、休止・廃止・完了・統廃合のようにそれぞれの事業について方向性を評価しますが、これら豊島区のような全事業にわたる行政評価はなされないのか。
(お姐超訳:全ての事業の評価を網羅できる状況にして欲しいわけです!職員も議員も都民も!)

回答
 都における事業評価は、都が直接実施する事業に加え、監理団体等を通じて実施している事業や特別会計なども含めた全ての事業を対象としています。
 また、予算編成の一環として、きめ細かく事後検証を行い、評価結果を次年度の予算に的確に反映することで、都としての事業の方向性を明確にしています。
 評価結果については、都民への説明責任を果たすという観点はもとより、分析手法を広く庁内で共有する観点などから、平成26年度は521件を公表し、更なる事業の見直しに結びつけています。
(お姐超訳:全てを対象にはしてますよ、全て見られるかは別として…はい、521件は公表してます。)

3 平成26年第四回都議会定例会文書質問の回答にて、都は毎年度、予算編成の一環として事業評価を行い、決算状況などを厳しく検証した上で、その結果を予算に的確に反映するということは了承しておりますことから、質問1、2であげたような豊島区で行われているような予算編成を行わない場合、それ以外の具体的な東京都独自の具体的な方法につきお示しください。
(お姐超訳:きめ細かいフィードバックなくしてどーやって都民ファーストの予算編成できるわけ?)

回答
 都における事業評価の最大の特徴は、予算編成の一環として実施していることにあります。
 事業評価として、決算状況はもちろんのこと、事業の成果やコストなど幅広く検証をした上で、見直し・再構築や拡大・充実等の評価を行い、その評価を予算編成に反映させています。これにより、実効性や効率性の高い施策の構築に寄与しているものと考えています。
 このことは、評価自体が目的となってしまいがちだとの意見も見られる一般的な行政評価と比べ、一歩進んだ取組であると認識しています。
 また、評価に当たっては、施設整備や情報システムの関係部局と連携した専門的見地からの検証や、財務諸表等の新たな公会計手法を活用した多角的な検証を行うなど、評価手法の充実にも努めています。
 今後とも、関係部局との連携を密にし、都の自己改革の取組として、事業評価の一層の活用を図っていきます。
(お姐超訳:豊島区?!東京方式のほうが一歩進んでます。東京方式で間違いない、東京方式を続けます!!)

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 東京都の予算書、決算書は、区議市議経験者なら驚愕ものではないでしょうか。江戸川区の一般会計、特別会計予算は建設局と同程度。江戸川区は款・項・目・節までにわたり事業と金額を明記、豊島区に至ってはその成果や実績を別紙で事細かにまとめております。区市議員を経験せず都議会議員になる方も多かったせいなのか、これまで議員や議会は指摘しなかったのが不思議でなりません。
 オリ・パラの予算膨張を鑑み、財政を均衡させ、予算の肥大化を防ぐための条例が必要と考えます。均衡予算と健全財政原則を条例化すれば、行政全体にマネジメントもガバナンスもきき、無尽蔵に予算がふえることをいさめられます。小池知事が憂慮して、斬新に実態究明を開始した豊洲市場・オリパラの予算膨張をみればわかるように「あふれんばかりのぜい肉をつけてしまった巨大な肥満都市東京」のダイエットレシピを作るにあたって必要なのが、まずは直近の決算審査の過程と結果でありましょう。
 これまでの慣習がありましたから、改善したいと思う職員がいたとしてもその実現は難しかったと思います。
 小池知事は、第一線の職員が腐らない組織風土についての私の質疑に「組織の運営におきまして、職員のやる気を引き出す。そして、その士気を高めることは、トップである私の役目であります。そして、ともに改革を進めていく、その思いを就任の初日から職員に語ってまいりました。」と明快に回答しました。
 予算決算は議会の華と言われており、まさに都政改革の喫緊の課題を料理する場として、知事が高らかに掲げた改革マインド理念が担当部局の隅々まで浸透し、実りある決算特別委員会となることにワクワクしているお姐であります。

【お姐総括】
 一番の情報公開は、決算書・予算書!
 都民が「款・項・目・節」までネットで見られるようになれば無駄遣いもできなくなります!

☆お姐、決算主義を浸透させることで役人マインドから改革マインドへ変えてゆけ!!☆

上田令子 プロフィール

東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表、地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)副代表
白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。

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