民進党代表の蓮舫さんをめぐって「二重国籍」がいろいろ話題になっていますが、蓮舫さんは10月7日に台湾国籍の離脱宣言をするまで、27年間も違法状態だったと認めました。彼女は「今は違法ではない」といっていますが、泥棒が27年間ぬすんでいたものを返しても、泥棒したという事実は変わりません。
おまけに蓮舫さんは今年7月に、国籍法違反のまま参議院選挙に当選しました。彼女は議員辞職して、来年はじめにも予想される衆議院選挙に立候補するつもりのようですが、その前に公職選挙法違反(経歴で嘘をついた)で逮捕される可能性もあります。
公選法では被選挙権を「日本国民」に限っていますが、日本国民って何でしょうか。国籍法では「出生の時に父または母が日本国民であるとき」などと定めています。蓮舫さんは出生のときは中華民国民だったのですが、今は日本国民になったといっています。しかし戸籍謄本を見せないので証拠はありません。
でもみなさんは「日本国民だ」と意識したことはないでしょう。そもそも日本にも中国にも、伝統的に国家という考え方はありません。「国家」ということばは漢語では「支配者の家」とか「政権」という意味で、99%以上の人々は国家の外側でした。日本に国家ということばが輸入されたのは明治時代で、それまではクニといえばふるさとのことでした。
だから今でも日本人が「国を愛する」というとき頭にあるのは、近代国家の主権者としての意識ではなく、自分の生まれたところが好きだという郷土愛のようなものでしょう。それだけではあいまいなので、天皇という象徴で国をあらわし、人々が天皇を愛することで自分の国を愛することにしているのです。
日本は昔、多くの人が戦争に行って「天皇陛下のために死ぬ」といって死んだので、老人には国家をきらう人が多いのですが、国を守るのは当たり前です。国を守らないで戦争に負けたら、自分の命も守れないからです。
こういうナショナリズムは明治以降に西洋から輸入したもので、自然に生まれたものではありません。「保守」の人は大昔から国家があったと思い込んでいますが、日本国民も国家も江戸時代より前にはなかったのです。
他方で「リベラル」の人は国家を否定したら平和を守れると思い込んでいますが、「日本には平和憲法があるから誰も攻めてこない」というのは単なる願望です。北朝鮮からミサイルが飛んできたとき、憲法9条でミサイルを防ぐことはできないのです。
問題は、日本が「自分の国だ」といえるかどうかです。みなさんにとって日本は自分の国でしょうが、「私のアイデンティティは台湾人だ」とか「日本のパスポートがいやだ」といっていた蓮舫さんにとって「自分の国」はどこなんでしょうか?
日本国民というのは「自分の国を守る」という意識をもつ人のことなので、二つの国籍をもった人が首相になって戦争を指揮するのは危険です。アメリカでは「生まれながらの米国民」でないと大統領にはなれません。一般人にはいろんな人がいてもいいが、二重国籍の人が首相になってはいけないのです。幸い彼女がなる可能性はありませんが。