何も持たない幸せ、全てが手に入る不幸

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丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラスのフィールドワークで東北に来ています。春夏秋と今年3回目の気仙沼ですが、毎回来るたびに風景が少しずつ変わっているのに気が付きます。街の中心部には写真のような盛り土が大量に置かれていますが、復興が進んでいるとは言えません。

フィールドワークで毎回お世話になっている斉吉商店さんに、今回初めて夕方からお邪魔しました。斉藤和枝専務のお話を聞き、最高のお食事でもてなして頂きました。

講話の中で心に残ったのが「足りないということは、ありがたいこと」というコメントでした。英語で言えば「Less is More.」という感じでしょうか。持たないことによって、豊かになれるという逆転の発想です。

気仙沼で被災して工場や店舗をすべて流されてしまった斉吉商店さん。唯一手元に残った金のさんまのたれを使って、5年間無我夢中で会社の再建に全員で奔走してきたと思います。財産を全て失い、仕事も無くなってしまったら、絶望のどん底というのが普通の人の気分です。しかし和枝さんは、そんな中で始めて自分たちの会社が何をすべきかが見えてきて、辛い悲しいというより、ありがたいという気持ちになった言います。

辛いこともたくさんあった中、選択肢が無かったからこそ、社員と家族が1つの方向にまとまって、何の迷いも無く突き進むことができたと言い切れる姿。苦労や悲しみを微塵も感じさせない強さと温かさに溢れています。そんな姿に、毎回フィールドワークの参加者が魅了され、また来たいと思ってしまうのです。

東京に住んでいると、何でも手に入る環境があります。でも逆に言えば、選択肢の数が多すぎて結局自分が何をしたら良いかわからなくなって悩んでしまうことも多いのです。自由に選べるという豊かさが、逆に何をして良いかわからなくなって、不安や迷いという精神的な貧しさにつながってしまうというパラドックス。全てが手に入ることが幸せとは限らないのです。

自分自身の行動も振り返ってみることで、新しい気付きを与えてもらえました。講師として来ているのに、毎回教えられることばかりです。

来年も春夏秋と3期連続で開講する予定の丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラス。また、斉吉商店さんにお世話になろうと思います。東京では味わえない、素晴らしいこの人と空間を来年もっとたくさんの人に紹介したい。今回もまたそう思いました。

スタッフの皆さま、夜遅くまでありがとうございました。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。