これは別に駆けつけることが仕事ではなく、国連職員や非政府組織(NGO)などが反政府ゲリラなどに襲われたとき助けるものです。素直にいうと「他国民の警護」ですが、これだと集団的自衛権の行使になるので「駆けつけ」という奇妙なことばになったわけです。英語に訳せないので、2014年7月の閣議決定の英訳では“kaketsuke-keigo”とローマ字になっています。防衛省の説明では
参加5原則などが満たされていれば、「国家」又は「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することはないので、仮に武器使用を行ったとしても、憲法で禁じられた「武力の行使」にはあたらず、憲法違反となることはありません。
と書いてありますが、「武器使用」をしても「武力行使」にあたらない、とはどういう意味でしょうか。使用も行使も「使うこと」という意味なので、これは「自衛隊が武器を使ったとしても、武力を使うことにはあたらない」となります。武器は武力なので、これは日本語として変ですね。
自衛隊は軍隊なんだから武器を使うのは当たり前じゃん、とみなさんは思うかもしれませんが、自衛隊は軍隊ではありません。それは「自衛のための必要最小限度の実力」であって、憲法で禁じられている「戦力」ではなく、武力行使もできないのです。
たとえば反政府ゲリラが自衛隊に向けてロケット弾を発射しようとしているとき、自衛官が先に銃を撃つと「武力行使」になるので、ゲリラが撃つまで待つしかありません。自衛官は命令なしに武器を使用できないので、目の前に危険が迫っても動けない。こういうわけのわからない規則でしばったまま、自衛隊を海外派遣するのは危険です。
さらに困るのは、自衛官が反政府ゲリラをを殺した場合です。軍隊が敵を殺すのは任務なので、兵士の行動は軍法会議で裁くのですが、日本には軍隊も軍法会議もないので、刑法の殺人罪に問われる可能性があります。南スーダンだけならまだいいのですが、日本の近くで戦争が起こったとき、大混乱になることは目に見えています。
「自衛隊は軍隊ではない」という、よい子のみなさんでも納得できないフィクションを続けるのはもう限界です。憲法を改正しなくても、内閣が解釈を変えて自衛隊を軍隊と認め、それをコントロールする法律をつくるべきだと思います。