お年寄りに席をゆずることが分からない愚かな人たち

2016年11月28日 06:00
tada

写真は向谷匡史氏。ブログより。

電車内で、お年寄りの男性と優先席に座った男性が口論している動画がYouTubeに投稿され話題になっている。かなり極端な動画なので、動画の是非についてはコメントを控えたい。嘆かわしいのは、お年寄りに席をゆずることが分からない人が存在することだ。

■人生の先達という誤った視点

いまは高齢者にとって、逆風の時代である。認知症や介護、さらに少子高齢化による年金破綻まで、メディアは連日のように老人問題を取り上げている。老人問題をわが身とは考えない世代が、「日本の邪魔」「さっさと死んでしまえ」と、背筋が寒くなるような罵詈雑言を浴びせる気持ちも理解できなくはない。

若者の意識はこのような風潮に大きく影響される。しかも、現実世界で目にするお年寄りは動作が緩慢だから、スマホもいじれない、ポケモンGOもできないし、生産性があるようにも見えない。「邪魔」とまでは思わないにしても「お年寄りを大切にしましょう」と言われてもピンとこないのは当然だろう。

さらに、高齢化社会で介護が社会問題になって以降は「高齢者=お荷物」という価値観が顕著になってきたように感じる。

では、若者に「なぜ、お年寄りを大切にしなければいけないの?」と聞かれたら、どのように回答すべきなのだろうか。一般的な回答方法は”人生の先達”という視点だ。「お年寄りは、これまで一所懸命に働いて社会に貢献してきた。だから大切にしなくてはいけない」というものだ。

しかし、この”人生の先達”という視点は多くの問題を含んでいる。この視点がある限り、理解させることはできない。なぜならば、大切にするというのは「オモチャを大切にする」といったように、主体が「自分」にあり上から目線になっているからである。ではどのようにすべきなのか。

■人生の先達ではなく感謝の視点

これについては分かりやすい回答がある。『考える力を育てる 子どもの「なぜ」の答え方』の著者であり、浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、日本空手道「昇空館」館長も務める、向谷匡史(以下、向谷)氏の見解だ。

「まず、『お年寄りは大切にするんじゃなくて、感謝するんだ』と置き換えるようにしてください。するとたいていの人はキョトンとします。『何に感謝するの?』というわけですね。実態が見えてこないのです。そこで、『自分がこの世に存在することへの感謝だよ』と説明を続けます。」(向谷)

「お父さんとお母さんがいて、キミたちが生まれた。お父さんも、お母さんも、それぞれお父さんとお母さんがいて、この世に生まれた。つまり、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいなければ、お父さんもお母さんも、キミらも生まれてこないんだと。」(同)

また、向谷は法話で相田みつをの『いのちのバトン(相田みつを美術館HP)』を引用することがあるとのこと。人間として生まれてくることの不思議さ、命の尊さを伝えていく。私たち、一人ひとりが、もっと命の尊さについて考える必要性があるのだろう。

そして、祖父母の若いときの姿を分かりやすく見せて理解させれば、イメージがより具体的になる。青年時代、実年時代と順を追って見せていけば、心に響くものが必ずあるそうだ。少なくとも「高齢者はお荷物」という発想は絶対に出てこないだろう。

本書は、子供向け教育に書き上げられたものだが、ケースにリアリティがあることから大人にもお勧めできる。上司のコネタとしても役立ちそうだ。多くの事例を理解することで物事の正しい道筋を見つけられるかもしれない。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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