つい最近、古書で1984年末発行の「2001年小事典」という書籍を入手しました。送料別で500円。迷わず「買い」でした。
今から約30年前に15年後(現在からすれば15年前)のことを予測したもので、執筆者はしごく真面目な権威ある面々です。今で言えば、2030年にはこうなっているという予言の書ということでしょう。
その中で「女と男」という項目の最初の部分を抜粋します。
企業でも官庁でも大学でも、女性が男性に伍して働き、高い地位を占めるのもまれではない世の中になったので、労働のうえでの男女差について論ずることは、時代おくれになった。これには、もちろん、肉体的重労働がロボットの手にわたったということが大いにあずかっている。
とのことです。
うーん。30年前の予測では、今より15年前の2001年には社会での男女平等が確立されているのですねえ。その理由は素朴で、肉体労働でのハンディをロボットが埋めるということです。
予測した2001年から15年経った2016年の今、平等どころか、社会における男女共同参画が大きな課題になっています。
もちろん、30年前に考えられていた肉体労働での体力差が原因ではありません。私が思うに…男社会のルールが女性の社会進出を拒んでいるのだと考えます。家事や子育てをめめしいことと断定し、遅くまでサービス残業をする人材を評価する体育会系とも言える男社会のルール。
どうやら、1984年のオピニオン・リーダーたちも、目に見えない「男社会のルール」については想定外だったようです。
そこで私なりの結論です。
技術進歩や社会システムで家事や育児がどんなに楽になっても、男社会のルールを変えない限り、2030年、いえそれ以降になっても、女性の社会進出には大きな課題を残すのではないでしょうか?
30年前に指摘された物理的な課題ではないのです。社会のルールというか「空気」が変わらない限り、女性の社会での活躍は限られてしまいます。30年前は、肉体労働でのハンディがなくなれば男女平等が確立すると考えられていました。ところが、肉体労働のハンディがなくなった今でも、男女不平等は深刻化するばかりです。
残る原因は、「空気」であり「雰囲気」であり、人事評価の「ルール」でありましょう。それを抜本的に変えない限り、2030年になっても「女性の活躍を!」と叫んでいるのではないでしょうか?
どうやってそれを変えていけばいいかって?
最も簡単な方法は、「男社会のルール」に固執している中高年層をバッサリとリストラして職場から放逐することでしょう。セクハラ加害者が職場から放逐される時代です。決して難しいことではないと思います。なにせ、30年前は、女性社員のお尻を触ることが「コミュニケーションの一環」「サービス精神」だと言われていたのですから…。
先輩に奨励されましたが、臆病な私にはとても実行する勇気はありませんでした。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2016年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。