トランプ次期大統領がソフトバンクの孫CEOと会談したワケ

2016年12月08日 06:00

孫正義

トランプ次期大統領が6日、ソフトバンクの孫正義・最高経営責任者(CEO)と会談し大いに話題となりました。会談後、ツイッターで孫CEOが米国に500億ドル投資し、4年間に5万人の雇用創出すると約束したと発表したためで、CNBCを始め米メディアはてんやわんやのお大騒ぎ。トランプ氏がツイッターで孫CEOを「Masa」と呼んでいたことも、注目を集めたものです。

そもそも、トランプ氏はなぜ孫CEOと会う気になったのか。

米大統領選を振り返ると、トランプ氏の勝因は以下の6州を獲得したことにありました。

ラストベルトを成すオハイオ州をはじめペンシルベニア州やミシガン州、さらに接戦州の一角を成すフロリダ州のほかウィスコンシン州、アイオワ州の6州です。これらは全て少なくとも2012年と2008年の米大統領選で2回とも民主党候補、すなわちオバマ氏を選出した州です。ペンシルベニア州やミシガン州では1992年から6回、ウィスコンシン州は1988年から7回に及び民主党候補に勝利を手渡しブルーステーツ化していたにも関わらず、トランプ候補は大躍進を遂げ赤く染め上げました。

こちらの6州には、2つの共通点があります。以下のチャートをご覧下さい。白人の居住率の高さで、全米推計値の77.1%を超えているんですね。ヒスパニック系が多いとされるフロリダ州ですら、78%でした。もうひとつ、大事な点は収入です。今年の米大統領選で共和党のトランプ氏に鞍替えした6州は、全米中央値の世帯年収5.35万ドル以下にとどまっていました。なお、以下のチャートにある赤い棒グラフの上の数字はトランプ氏とクリントン氏の票差で左右の軸とは関係ありません。

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(作成:My Big Apple NY)

ラストベルトを中心に年収が全米の中央値以下である一因には、サービス業より比較的賃金が高い財部門(製造業、鉱業、建設業)の雇用が減速していることが挙げられます。

財部門は、1990年時点では全就業者のうち22%を占めていたものです。しかし、今年11月に11%まで低下。金融危機発生にかけては大きく落ち込み、政府部門による逆転を許してしまいました。ITバブル崩壊や金融危機にもめげず雇用増加を果たしてきた食品サービス(レストランなど外食関連)と比較すると変化は一目瞭然。1990年には製造業と食品サービスの就業者数の差は1,000万人以上と製造業が大幅優勢だったにも関わらず、今では約83万人まで縮小しています。

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(作成:My Big Apple NY)

トランプ次期大統領にしてみれば、自身のレガシー作りに財部門を中心に米国の成長を促進し雇用を創出が肝要。通信インフラの最新化などが視野に入る孫氏のオファーは、まさに渡りに船だったというわけです。

問題は、貢ぎ物を用意する限りトランプ氏が来るもの拒まずなのか否か。さらに、空調大手キャリアに介入したように企業との距離感が近い場合にはせっかく共和党が過半数を制した米議会との対立を招きかねません。いくら自身のビジネスから一切足を洗うと宣言済みとはいえ利益相反のイエローフラッグが立たないとも限らず、トランプ次期大統領の手捌きが試されます。

(カバー写真:CNBC


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年12月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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