液肥(えきひ)を使ったじゃがいもの栽培実験を始めました

長島町(鹿児島県)には、国内最大級の養豚場があり、町の基幹産業の一つになっていますが、多額のお金を払って豚糞を焼却して処理しているので、臭いの問題や、エネルギーをうまく活用できていないという問題があります。

そこで、昨年度「長島大陸の農・漁業パワーを活かす分散型バイオマス温冷熱電併給事業」について調査委託を行い、エネルギー賦存量や供給量の調査、先進事例の視察、合意形成などを進めてきました。

今年度は、昨年度の調査を踏まえ、養豚場、信用金庫、漁協、商工会などで出資し、「長島大陸エネルギー株式会社」を設立。地域の中で経済を循環させることが大切との認識から、さまざまなプレーヤーの連携を深めています。

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その一環として、地元の有志から畑をお借りし、また県の支援をいただきながら、「液肥(えきひ)」を使ったじゃがいもの栽培実験を始めました。

日本で、北海道を除いて、なかなかバイオマス発電・熱供給が進まない理由の大きな要因が、糞尿を発酵させた後に残った物=液肥の活用が難しいこと。液肥を、薬剤や微生物、水などで浄化処理するためには、多額の費用がかかり、事業全体の採算性を悪化させます。

化学肥料の普及に伴い、糞尿を畑に蒔くことは減りましたが、糞尿はもともとは肥料として使われていたもの。

とりわけ液肥については、糞尿からメタンガスを取り出す過程で、高温で長時間発酵させているので、生の糞尿と比べて雑菌が極めて少なく、世界最先端の農業・バイオマス国家デンマークの保健省などでは、生の糞尿ではなく、液肥の活用を強く推奨しています。

日本でも、北海道においては、広大な牧草地があるので液肥をまきやすい、一か所の畑作地が大きいので合意形成がしやすいという特徴があり、バイオマス発電と液肥の活用が近年、急速に進んでいます

一方、北海道以外の地域においては、一か所あたりの畑が狭く、また耕作者の数が多く合意形成が難しいのでほとんど進んでいないのが実情ですが、だからこそ、さまざまなプレーヤの連携を深め、エネルギーをうまく活用し、地域の中で経済を循環する仕組みをつくることが大切です。

長島町から日本の畜産、農業、そして地域経済を元気にするモデルを作っていきたいです。

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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年12月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。