3G新政権、LTE並みのスピードで政策を実現できるのか

2016年12月20日 06:00

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年明け1月に発足するトランプ政権、クレア・マッキネル米上院議員(ミズーリ州)に言わせれば「3G」だそうです。

すなわちGoldman Sachs、General、Gazillionaires

GSと言えば財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏をはじめ、国家経済会議(NEC)の議長に就任するゲイリー・コーン氏、また米大統領戦略補佐官に指名されたスティーブ・バノン氏が挙げられます。

General=将校では、マッド・ドッグの異名を持つジェームズ・マティス元中央軍司令官が国防長官に指名され、マイケル・フリン元国防情報局長官を国家安全保障補佐官に充て、ジョン・ケリー元南方軍司令官は国土安全保障長官に就任する見通しです。

Gazillionaires=億万長者では、“再建王”として名高いウィルバー・ロス氏が商務長官に着任する公算。この方の資産は25億ドルといいますから、驚きです。また教育長官に指名されたベッツィー・ディボス氏も、負けていません。ディボス氏の夫でミシガン州知事に立候補した経験のあるディックの資産は、アムウェイの創立者の息子とあって51億ドルと言われています。

米株相場は3G政権に大きな期待を寄せ、3%成長もかくやと夢を描いているようです。しかし。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の世論調査では冷ややかなアメリカ人の態度が伺えます。

トランプ次期大統領、UnprecedentedをUnpresidentedとツイートするお茶目な面も。

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(出所:CNBC)

世論調査の結果によると、回答者の68%が「トランプ新政権は変化をもたらす」と予想していました。ところが、そのうち20%は「誤った方向」への変化を見込みます。

トランプ次期大統領による政権移行の手法には、実に41%が「反対」の意見を示しています。オバマ政権発足前である2008年の13%を大きく超えてきました。ロシアのプーチン大統領との親密な関係が取り沙汰されているエクソン・モービルのティラーソン最高経営責任者(CEO)を国務長官に指名したことなどが、アメリカ人の脳裏によぎったのかもしれません。

ティラーソンの登場で、先ほどお話しした3Gが4Gとなり得ます。ティラーソンCEOの場合、敢えて付け加えるなら共和党(Grand Old Party、GOP)支持者としてのGが当てはまるでしょう。同氏は2003年から共和党に献金を続け、直接の寄付金総額は44万ドル超に及びます。

各メディアの報道で知られる通り、ティラーソン氏とロシアのプーチン大統領との親交はエリツィン前大統領時代に遡るほど長きにわたります。米戦略国際問題研究所(CSIS)のハムレ所長をして「プーチンと最も対話してきたアメリカ人は、彼の他にキッシンジャー元国務長官しかいない」と言わしめるほど。ウクライナ問題を背景に2014年に米欧がロシア制裁を発動した結果、停止を余儀なくされたとはいえティラーソン氏は2011年には北極海を舞台とした資源開発合意での立役者です。

ティラーソン氏とトランプ次期大統領は懇意だったわけではないようです。ブッシュ政権(息子)で国務長官を務めたコンドリーザ・ライス氏、レーガン政権で財務長官、ブッシュ政権(父)で国務長官だったジェームス・ベイカー氏、さらにオバマ政権で国防長官に就いたボブ・ゲーツ氏が推薦したといいます。ちなみにロシアの報道では制裁解除を先取りしたのか、ティラーソン氏の指名後にトランプ閣僚候補をして「ドリーム・チーム」と呼んでいました。

米大統領選の最中、 クリントン候補のメール問題を暴露したウィキリークスとロシアの関与が取り沙汰されるなか、敢えてトランプ氏はティラーソン氏に白羽の矢を立てる勝負に出たのは、大胆なトランプ次期大統領らしい人選と言えます。ティラーソン氏をはじめ指名承認は共和党が100議席中52議席と多数派の米上院が行いますが、2008年の米大統領候補だったジョン・マケイン議員、今年トランプ氏と共和党予備選を戦ったルビオ、グラハム両議員が異議を唱え始めました。単純過半数ですから、この3人が反対している限り承認できないんですね。果たしてトランプ次期大統領は、強行突破できるのでしょうか?

前代未聞の米大統領選を制したトランプ新政権は、閣僚の面々でも驚かせてくれました。はたして3Gあるいは4G政権は指名承認作業を無事に消化し、サクサクとトランプ次期大統領が描く政策を実現できるのか熱い視線が集まります。

(カバー写真:Tom Lohdan/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年12月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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