反省、2016年。展望、2017年。

 


いつものとおり、2017年を始めるに当たって、2016年を振り返ります。

「City」「Cool」「Convergence」3本柱のプロジェクトです。

1 CITY

Pop & Techの街づくりをするプロジェクトです。

1) CiP 

港区竹芝にデジタル・コンテンツ産業集積特区を作る「CiP」。Pop Tech 特区CiP。昨年、一般社団法人「CiP協議会」を設立し、2020年度の街開きに向け進んでいます。
通信、放送、IT、音楽、アニメ、ゲーム、お笑い、広告、商社、VC、学校など50社・団体が参加し、内閣官房、内閣府、総務省、経産省など政府とも連携しています。
国家戦略特区として総理大臣の認定を受けており、テストベッドを構築します。既にアーティストコモンズ、サイネージ実験、世界オタク研究所等のプロジェクトが走っています。
京都・沖縄等の都市、スタンフォード大学、ロンドン大学、マレーシア・イマジニアリング研究所、韓国政府・コンテンツ振興院など海外との連携も強化します。
http://takeshiba.org/

2) 超人スポーツ
身体と技術を融合させ、人機一体の新しいスポーツを開発する「超人スポーツ」。稲見昌彦さん・暦本純一さんとぼくが共同代表、南澤孝太さんが事務局長となって昨年「超人スポーツ協会」を立ち上げました。

新スポーツの開発・普及を進め、2016年秋には第一回競技会「超人スポーツゲームズ」を開催しました。国体会場であった岩手県とも連携して、岩手ご当地超人スポーツの開発も行いました。TBSが中心となってドローンレース選手権を開催するなど、ビジネスの開発も進めています。2020年には超人スポーツ世界大会を開く街を整備したく存じます。
http://superhuman-sports.org/

3) Tokyo Crazy Kawaii  
マンガ、アニメ、ゲーム、ファッション、食、雑貨などなど、クールジャパン業界の総合力を海外に発揮するビジネスカルチャーイベント。実行委員長を務めます。NIPPONのカワイイを世界各地でローカライズしていきます。昨年はバンコクで開催しました。次回を企画中です。
http://www.crazykawaii.com/

2 COOL

ポップカルチャーの世界展開やコンテンツの開発を進めるプロジェクトです。

1) Artist Commons
アーティストに固有のIDを付与し、コンテンツやグッズ、ライブ等の情報を展開しやすいようにするプロジェクト「Artist Commons」を音楽業界と進めています。
政府クールジャパン戦略にも明記され、CiPをベースに展開しています。経済産業省の支援を得て、データベース作りをスタートさせました。

http://bit.ly/1kiqzyj

2) アニメマンガビジネス
日本動画協会「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」。アニメ等のコンテンツ分野がパートナービジネスを開発する活動に協力しています。CiPではこれを横展開させ、出版等の分野のビジネスマッチングを進めます。

クリエイター、教育機関、関係業界とともにマンガ・アニメ人材育成カリキュラムの策定にも携わっています。これもCiPとの連携を強化する計画です。
内外のマンガ家と関連企業が集う「海外マンガフェスタ」。昨年も高橋陽一先生らと東京で開催しました。
http://abpf.jp/
http://kaigaimangafesta.com/

3) 京都国際映画祭
吉本興業が主導する「映画もアートもその他もぜんぶ」のイベント、京都国際映画祭。昨年からぼくが実行委員長に就きました。京都の街を広く使い、他のどこにもない祭典にしていきます。先輩格の沖縄国際映画祭との連携も深めてまいります。

 
4) 世界オタク研究所
国際オタクイベント協会IOEAとCiPが連携し、世界オタク研究所を設立する構想を進めています。世界各地で開催されるオタク系イベントの動員数は年2000万人にのぼるそうです。そのエンジンたる各国の研究者による総本山を創る。経産省の支援を得てスタートさせています。
5) 政府コンテンツ政策
内閣府・知財本部では座長として、次世代知財システム、コンテンツ海外展開強化、アーカイブ利活用促進などを柱とする知財計画2016を策定。世界に先駆けてAIの知財問題に取り組みました。2017計画に向け、新世代知財委員会の委員長を務め、AI問題を深掘りするほか、映画振興委員会の委員長も務めます。
「クールジャパン戦略推進会議」では竹芝・CiPがモデル拠点とされ、クールジャパン官民連携プラットフォームも設立されました。その活動に参加・協力していきます。

6) その他

◯政府・オリンピック・パラリンピック参与
内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部政策参与という長い名前の職を遠藤利明大臣のもとで務めました。引き続きオリパラ活動に貢献したく存じます。
◯NHKクールジャパン
日本のクールを発信しつづける番組、12年目に入ります。「ハイテク生活」「部活」「猫」「ゲーム」「ボランティア」の巻に参加しました。まだまだネタはあります!
◯ LIVEな生き方
ITを駆使する現場を訪ねるBSフジの番組、メイン司会を務めました。スポーツ、サーカス、自動車、医療、さまざまな先端を紹介しました。

3 CONVERGENCE

メディア融合や新メディア開発を進めるプロジェクトです。

1) デジタルサイネージ
社団法人化したデジタルサイネージコンソーシアムを軸として、2020年に向け、多言語・防災おもてなしサイネージとが国家課題と位置づけられ、総務省2020年ICT懇談会の場で方策づくりが続いています。これを推し進めます。総務省の実証実験にもCiPとして参加・協力致します。
 
2) 4K8Kパブリックビューイング
 4K8Kはじめ超高精細映像パブリックビューイングの施設整備も総務省が推進しています。その推進母体として、2016年5月「映像配信高度化機構」を設立、ぼくが理事長に就きました。NHK、NTT、NTV、スカパーJSAT、ソニーなど会員17社によって、実証開発や普及促進に努めています。
3) IPDC/スマート放送
放送の電波に通信技術であるIPを乗せるサービスを開発するIP Data Casting(IPDC)。代表を務めるIPDCフォーラムとともにCiP特区でのメディア融合実験を企画しています。TFMグループが進めるVlowマルチメディア放送もCiPでの通信・放送融合実験を計画中です。民放連でぼくが座長を務めるネッド・デジタル研究会でもこれら企画を論議していきます。
http://www.ipdcforum.org/

4) IT政策研究会
スタンフォード大学アジア太平洋研究センターAPARCとの共同でIT政策に関する研究を進めています。日米の政府・企業関係者とともに政策の整理をします。
http://www.itpolicy-roundtable.net/

5) その他


◯ ネット炎上
ネット炎上対策を講ずるプロジェクト。会長を務める社団法人ニューメディアリスク協会とともに、事例調査、啓発教育などの活動を進めています。
 
◯ オープンデータ
オープンデータ対策を進めます。VLED(社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構)に協力し、普及啓発に努めています。
http://www.opendata.gr.jp/

4 参考 

1) デジタルキッズ
CANVAS石戸理事長率いるデジタルキッズは強力に進んでいます。国際デジタルえほんフェアの開催も決定。学校での必修化が政府決定されたプログラミング教育に関し、プラットフォーム「Computer Science for ALL」も開設しました。
 
2) デジタル教科書
デジタル教科書も大きく動きました。文科省はデジタル教科書の制度化に動き、総務省は電波利用料の活用に踏み出すなど、DiTTが提言してきたことが実現に向かっています。超党派の国会議員によるICT教育議連も「教育情報化推進基本法」の策定に動き、ぼくらDiTTも後押ししています。
これを受け、DiTTは社団法人化を決定、プログラミング教育、情報リテラシー教育や教材の著作権処理などを活動に組み込み、パワーアップする予定です。2017年は教育情報化の新ステージです。
 
3) KMDフォーラム
慶應義塾大学メディアデザイン研究科KMDのイベント「KMDフォーラム」を今回担当し、11月に三田キャンパスにて開催しました。
テーマは「2020年、ポップ&テック」。ポップ、テクノロジー、教育、ビジネス、スポーツ、デザインなどの最先端の人物を招きつつ、2020を問いました。
お越しいただいた主なかたがた:ライゾマティクス斎藤精一社長、シン・ゴジラ樋口真嗣特技監督、XJAPAN SUGIZOさん、ホリプロ堀社長、吉田沙保里さん、遠藤利明前オリンピック大臣、伊藤達也元金融大臣、福田峰之衆議院議員、吉本興業木本公敏さん、サニーサイドアップ次原悦子社長、C Channel森川亮社長、夏野剛さん、水口哲也さん、谷田光晴さん、筑波大学落合陽一さん、政策大学院大学牧兼充さん、東京大学稲見昌彦さん、一橋大学石倉洋子さん、板尾創路さん、おかずクラブ、トータルテンボス、はんにゃ、タケト、大西ライオン、イシバシハザマ、もう中学生、デッカちゃん、内閣官房、内閣府、総務省、経産省、文科省代表。マンガ家、起業家、子どもたち、学者、学生、ドローンパイロット、力士、着ぐるみ軍団、女子着物集団など。もちろん稲蔭正彦、古川享、石戸奈々子らKMD教員も。みなさんどうもありがとう。
4) 企業経営
mixiの社外取締役を辞任しました。吉本興業の社外取締役に就きました。スペースシャワーネットワーク、保育最大手のJPホールディングスの社外取締役は継続です。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年1月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。