こんにちは、東京都北区議会議員の吉岡けいた(日本維新の会所属)です。
政務に関係ない図書の購入、飲食代に流用、不可思議な政務レポート印刷契約、大量の切手購入、実際には行かない視察経費を偽装・・・政務活動費の不正と疑惑について解決の道筋が見えません。
疑惑発覚→議員本人が弁明→さらに疑惑が広がる→謝罪、修正、議員辞職→一度治まる→別議員がやらかす
この繰り返しがここ3年続いています。どうして一向に無くならないのか?
その理由を現職区議会議員として、実際に政務活動費使用を通じて体験した中で述べさせていただきます。
まず、現状についてご説明します。あくまでも東京都北区議会の現状ですが、他市区でも同様部分が多いかと。
現状1 政務活動費自体は地方自治法に規定はありますが、交付対象、額、方法、経費の範囲など詳細は各議会の条例で定められます。よって、地方ルールと各議会による見解の相違が生じます。
現状2 政務活動費計上の按分(経費について何割を請求するか)については、東京都北区議会について言えばマニュアルにある事例以外で会派間による統一がされていません。例えば、事務所の通信費(電話、スマホ利用)について、かかった経費のうち何割を認めるかは同じ議会内でも各会派・会派に所属しない議員間で不統一です。
現状3 政務活動費ルールを正式に検討する場の設定が困難(北区議会の場合)。経理責任者意見交換会という意見交換会はありますが、ルールについて決める場ではありません。実際に意見交換機の場で「領収書を公開すべきでは」といった意見をしましたが、「何かを決める場ではない」という意見があり、それ以上の議論に進まず。本来、政務活動費について見解に対立するような場合に、「あり方検討会」を設置して協議するとされていますが、議長判断で「あり方検討会が開催されない」ことも可能。また、幹事長会で議題に出されない場合、それ以上、政務活動費問題について一部議員から提案があっても審議がされません。
少数会派、無会派議員の意見が多数会派から無視されれば、議会内運営についてそれで終わりの話です。
現状4 行政が非協力・後ろ向き。政務活動費は区議会事務局が書類と領収書チェック、支給事務を行いますが、事務以外の取り決めには関与せず、改善に向けた提案もしません。
現状5 議会改革検討会という審議の場に政務活動費について議論対象から外されている。平成27年度に政務活動費領収書公開をテーマとして事務局に提出したところ、それは議会改革検討会の場で行うべき話でなく「経理担当者意見交換会」の場で行うとされました。しかし、実際、意見交換しかできず、正式検討ができる場に解決案が審議されることが無かったのが事実です。
次に、政務活動費問題の課題点を申し上げます。
課題1 情報公開に議会と行政がともに後ろ向き。北区議会には政務活動費の手引きがありますが、一般公開されていません。領収書のインターネット公開について行われているはごく少数。東京23区では世田谷区だけ(H29年度から葛飾区も領収書公開すると公表)。
課題2 議会により運用・経費範囲について考えと扱いがバラバラ。東京23区を例にとっても、各事務局で情報交換・事務運用について連絡協議の取り組みをしていない。
課題3 後払い方式導入は事務側の負担が大きい。今年の意見交換会で「政務活動費後払い方式」を提案しましたが、事務局資料によると完全後払い方式の自治体は京丹後市、うきは市、矢坂市、阪南市の4つ(中核市以上で北区議会事務局が把握しているもの)。兵庫県や神戸市など8県市は会派へ交付後に議員へ後払いをしているため、完全後払い方式を導入できるのは少ない議員数と交付額の議会に限られている。
課題4 議員個人の判断が優先され、マニュアル改定に結びつかない。今年の意見交換会で「マニュアルについて見直しをするため定期的な意見交換会の開催を要求しましたが、「議員が自分の責任をもって手引きを熟読し、理解することが前提」という理由で却下。議会で前例が変わるには、新聞沙汰になるような不正が発覚し、マスコミに追及される事件が起きないと改正改善に向けた機運が高まらないと感じる実例です。
最後に、上記を踏まえて解決策を提案いたします。
解決策1 議会改革検討会の議事録をまず情報公開。各市区議会で政務活動費他、議会改革について検討会が開かれている事が多いですが、開催自体について情報公開が進んでいません。まず、議会改革の情報公開を進める事で、議員の対応が変わります。北区の場合、検討会の開催スケジュール非公開、傍聴不可。ここを変えたい。
解決策2 改革派議員が自主的に状況を説明して公開。これは一人でも出来る事で、当方も自身のアメブロ公式ブログで内訳は公開しています。領収書公開まで出来れば良いのですが、ここは議会全体で行いたいこと。
解決策3 地域オンブズマンが活躍すること。この解決策が一番効果的でありながら、実現が難しい。理由はオンブズマン業務が有償でなく、なり手がいない。北区では区民オンブズマンの存在は聞きません。しかし、自主的に公費チェックを行う区民有志の活動が広がれば、その地域における議会対応は変わります。
解決策4 有権者判断に持ち込む。選挙争点として「政務活動費削減」だけでなく、仕組みの改正、領収書公開、マニュアル見直を具体的公約にし、公約実現に向けて取り組む地方議員が多くなることで流れが変わります。
解決策5 地方議会改革問題として他市区の地方議員と連携し、政務活動費問題について情報共有を行いつつ、地方議会共通の解決策として社会提言を行うこと。政党政策に関係ない課題であり、相互協力は可能。
結局、政務活動費問題は閉鎖的な地方議会がいまだに村社会である事に起因するかと。解決に向け、一般社会から遮断された古い議会構造の障壁を崩し、透明性を高めることにしっかりと取り組みます。
最後までお読みくださりありがとうございました。