各自治体は敬老パスを廃止すべき

松本 孝行

2017年になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は昨年から地元である兵庫県伊丹市に帰ってきたのですが、大阪に住んでいるときに比べて疑問に思うこともありました。その一つが市バスの敬老パスです。

敬老パスについてはアゴラに寄稿されている音喜多さんも「【東京都議会議員おときた駿氏 特別寄稿】高齢者だけが利用できる「シルバーパス(敬老パス)」を廃止した方が良い3つの理由」というコラムを書かれています。若い人たちの中には敬老パスに反対する人は多いのかもしれません。

結論から言えば私は敬老パスを廃止すべきだと思いますし、廃止できないのであれば大阪市程度の負担をお願いするのが筋かとおもいます

敬老パスは必要なの?

民間バスはスカスカ、市バスはパンパン

私が住む場所の近くには伊丹市バスの他にも民間の阪神バスが走っています。阪神バスには敬老パスというのはありません。神戸市など、一部自治体では民間のバスであっても利用できる敬老パスを発行していますが、私の住む伊丹市にはありません。

敬老パスで無料で乗れる市バスと通常料金を払わないといけない民間バス、両方に乗ってみると高齢者の数が違います。市バスには多くの高齢者が乗り降りし、民間バスには高齢者はあまり乗っていません。ですので混み具合がだいぶ違います。無料のバスと有料のバスならそりゃあ私だって無料の方がいいですし、当然のことでしょう。

無料ということもあって、バス停1つ分だけ乗る方もいらっしゃいます。バス停1つ分だけ乗車するよりも、ゆっくりでもいいので1つ分歩いたほうが健康にも良さそうな気もしますが…私が高齢ではないのでそのあたりの判断はできませんが。

無料でご老人が乗車できるおかげで市バスは満員で座れないことが多々あります。お金を払って乗車している人にとってみれば、無料で乗車している人が多いと不公平感を感じるでしょう。しかもご老人には席を譲りましょうとアナウンスも流れています。お金を払って乗車して立ち、無料で乗車して座るというのは果たして正しい姿なのでしょうか?

無料は利用が荒くなる

2つ目に無料というのは利用の方法が荒くなりがちです。「工作教室の開催者の嘆き「無料開催の参加者はクレーマーだらけ。ゴミの片づけをする人も少ない。お金をいただくときは、こんなことはなかったのに・・・」」というtogetterのまとめにあるように、有料と無料では客の態度も質も変わります。

私も会社で営業・マーケティング系のセミナーを無料で開催しているのですが、無料開催の際には無断欠席する人の数が多くなります。無料だから適当に対応してもいいだろうと思うのでしょう。こちらは資料を用意したり、席数を確保するなどしており、ドタキャンされると困るのですが。

これは敬老パスで無料乗車できる場合にも言えるでしょう。大阪市では敬老パスを有料化してからと言うもの、2012年度末に比べて2015年度末に利用者が72%程度に落ち込んでいるそうです(大阪市、自己負担金の廃止検討)。ただ、これは「無料だから」使わなくてもいいのに使っていた人が使わなくなっただけ、ともとれます。

上記でもバス停1つ分だけ、わざわざバスに乗るご高齢の方が多いと書いていますが、これも無料だからこそ行うことです。有料であればバス停一つ分、自分で歩くはずです。

敬老パスは孫に誇れる制度か

3つ目に私が敬老パスを廃止した方がいいなと思う理由、それは孫やひ孫世代に誇れる制度なのか?ということです。

おじいちゃん・おばあちゃんと一緒にお孫さんであろう子供が乗車してくることがよくあります。その際、おじいちゃん・おばあちゃんは敬老パスで無料、お孫さんは子供料金を支払っているのです。この状況は果たして誇れることなのでしょうか。

おじいちゃん・おばあちゃんは基本的に年金や今までの蓄えがありますから、少ないかもしれませんが収入があります。しかし子供は働いていませんから収入はありません。収入がない子供は半額を払い、収入や蓄えのあるおじいちゃん・おばあちゃんが無料というのは正しい姿なのでしょうか。

敬老パスを廃止し、大人と同じ値段で乗車して欲しいとは言いません。少なくともご高齢の方については子供料金と同じ金額で乗車する、という負担をしてもらうことは出来ないものでしょうか。