We Can Do Anythingとプロフェッショナルの離合集散

2017年01月17日 11:30

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プロフェッショナルは、個人として責任を負う独立した職業人のことだから、企業化というか、組織化の仕組みとしては、パートナーシップ、即ち、個人の連合体である平らな組織形態が採用されてきた。プロフェッショナル事業の代表は、資格業である弁護士や会計士を除けば、コンサルティングだが、金融業界では、投資運用業と投資銀行業がそうであった。

古くは、名門の投資銀行や資産運用会社は、全て、パートナーシップ型の企業だった。そこでの組織規律の基調は、程度の差こそあれ、個人の独立を尊重するYou Can Do Anythingの文化であった。ところが、事業構造の変化によって、資本再編による統合が進んでいくと、企業を主役とし、旧パートナーを従業員とする普通の企業文化に変質していく。

プロフェッショナル事業では、規模は効率を意味するかもしれないが、決して質を意味しない。故に、統合のたびに質にこだわる人々は、反旗を翻すのである。プロフェッショナル事業では、質へのこだわりこそが創造という真の成長を支えているからである。そのプロフェッショナル事業の文化の基調は、常に、You Can Do Anythingでなければならない、それは、真のプロフェッショナルの信念である。

実際、業界の再編集中の裏では、旧プロフェッショナル文化へのこだわりをもつ人々は、志を同じくする者同士で、We Can Do Anythingを貫徹すべく、独立して、たくさんの小さなパートナー型の企業を作っていく。いわゆるブティークである。いまでは、業界は、巨大な少数の企業と多数の小さなブティーク群とに二分されている。いうまもなく、創造という意味での真の産業の成長を担っているのは、ブティークである。

プロフェッショナルの離合集散を通じて、事業の成長の担い手の企業が事業の成長過程で入れ替わっていくのは必然であるとしても、企業の成長の理論からいえば、一つの企業としての同一性を保ちつつ内側に成長源泉を維持できないのか、そういう問いは永遠に残るわけである。

また、プロフェッショナル事業だけでなく、実は、製造業であろうがサービス業であろうが、どの産業でも、成長の源泉に着目すれば、そこに担い手としてのプロフェッショナル的人材(経営や財務のプロフェッショナルを含めて)を見出すのではないのか、そうとも考えられるわけだ。

さても、プロフェッショナル事業のYou Can Do Anythingの組織論は、産業一般に拡張可能か、企業の規模の壁を越えられるのか。

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
twitter:nmorimoto_HC
facebook:森本紀行

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