【映画評】疾風スプリンター

2017年01月19日 06:00

チーム・レディエントは、エース選手のチョン・ジウォンが引っ張る自転車ロードレースの強豪チーム。そこにチウ・ミンとティエンがアシストとして所属することになる。2人は互いにエースの座を目指しながらアシストとして力をつけていき、ジウォンを加えた3人は友情を深めていく。台湾各地で連戦を繰り広げる彼らだったが、ある日、チーム・レディエントは資金難により運営困難に。ジウォン、ミン、ティエンの3人はそれぞれ別のチームに所属することになり、各チームのエースとなって、ライバルとして戦うことになる…。

自転車ロードレースの世界を舞台に、激しく競い合うライバル同士の友情と成長を描くドラマ「疾風スプリンター」。日本でも、自転車競技は、人気漫画の影響もあって注目度を増しているが、迫力の競技シーンをとらえた実写映画である本作もまた、自転車ロードレースの魅力をたっぷりと伝えてくれる。個人戦に見える自転車競技は、実際はチームで戦うスポーツで、ごく簡単に言うと、一人の爆発的なパワーを持つエースを、複数のアシストがさまざまなテクニックでサポートするスタイルだ。

ダンデ・ラム監督の演出はスポーツ映画の王道ともいえるもの。タイプの違うライバルたち、同じ女性に想いを寄せる三角関係、栄光、挫折、再起、そして、確かめ合う男の友情と、テッパンの作りで、安心感がある。その分、目新しさはないが、それでもこの物語に胸が熱くなるのは、競技のシーンが並外れて素晴らしいからだ。ラム監督がこだわったレースシーンは、大掛かりな街頭ロケ。俳優たちは山や砂漠を含む過酷な場所での撮影にスタント無しで挑んでいる。そのおかげで、レースの迫力はスクリーンのすみずみまであふれている。

天性爛漫な性格で野心家の天才型チウ・ミン、身体に問題を抱えながらも真面目な努力型のティエン、クールなエースのジウォンと、キャラクターのメリハリも効いている。演じる俳優のイケメンぶりがそれぞれタイプが違うので、ストーリーを追いやすいのもいい。ラム監督にしてはさわやかすぎるのがちょっと意外だが、タイトル通り、疾風のようなレースに魅了されるスポ根映画だった。
【65点】
(原題「TO THE FORE」)
(香港、中国/ダンテ・ラム監督/エディ・ポン、チェ・シウォン、ショーン・ドウ、他)
(臨場感度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年1月18日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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