災害時に新技術を利用するためにすべきこと

2017年02月20日 10:30

1995年1月に阪神大震災が発生した。大多数の人々は固定電話を当時は利用していたが、復旧の早かった携帯電話にライフラインとしての注目が集まり、携帯加入者は95年3月末に433万人が、96年3月末には1171万人、97年3月末には2691万人と急増した。今では小学生にまで利用者層が広がり、誰もが一台を持っている。

2011年3月に東日本大震災が発生し被災自治体で住民データの多くが消滅した。これが契機となって、クラウドを使って遠方にデータを保管するほうが危機管理に有利であるとの認識が高まった。そして、自治体情報システムを民間データセンターに移す自治体クラウドの取り組みが始まった。毎日新聞13年3月18日付によれば、岩手県釜石市で利用が開始されたのが最初だという。

東日本大震災では避難所の人々への情報伝達も問題になった。テレビやラジオは広域圏放送や県域放送であるため、避難所周辺の情報が必ずしも流れるわけではない。そこで、より狭域の放送としてコミュニティFMが注目された。朝日新聞には12年3月7日付の「被災地の地域FM、災害報道を考える 長岡でシンポ開催」という記事が残っている。

2016年4月に熊本地震が発生した。総務省は通信事業者と協力して避難所へのWiFiの設置を急いだ。通信事業者は各社の有料WiFiを「00000JAPAN」という統一名称で無料開放した。人々は親類縁者に連絡を取ったり、最新の情報を入手したりできるようになった。

クラウドにはデータが安全に保管されるという以外に、立ち上げが容易という特徴がある。熊本市と日本マイクロソフトは、熊本市内256か所の避難所の情報連携システムを16年5月11日から本格的に運用した。各避難所の管理者が被災者向けの情報を滞りなく共有できるようになり、日々の支援活動に役立った。

ドローンの飛行は改正航空法で規制されているが、災害時の対応についても明文化され、災害時に自治体から要請があった場合は飛行禁止区域においてもドローンの利用が可能となった。一方で、ドローンを活用しようにもクライアントがいないという現実に直面したという話も出ている。その後、震災時に備えてドローンを使う訓練を大阪府警が実施している。これは、大阪府警が自らクライアントになって実施した訓練とも解釈できる。

熊本地震の発生時、Airbnbは宿泊場所紹介サービスを無料で提供した。同社には災害が発生すると被災地のホストに援助が可能か打診するプラットフォームがあるという。地方公共団体および災害支援団体とも提携しているそうだ。

情報通信系の新技術は、新技術が市場に出てきた直後の災害で価値が認められ、あるいは、実際には利用されなくても潜在的価値が認められ、次の災害時に活用されるという傾向がある。この時間遅れはどうしたら解消できるだろうか。

航空法のような事前の備えは他の法律でも備わっているだろうか。Airbnbのような緊急サービスを民間が用意しておくことはできるだろうか。災害時には政府の判断で諸規制を解除したり、新たな規制を加えたりできるという法律を一つ作って対応するという考え方もあるかもしれない。しかし、このように政府に自由度を与えるのは戒厳令を認めるに等しいという反論がある。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、この問題について議論を深めるために、2月27日に「熊本地震に学ぶ情報通信技術の活用」について語るイベントを開催する。ご参加をお待ちします。

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