故人の妻と、兄弟は結婚できるのに…。

2017年03月06日 06:00

画像出典:写真AC(編集部)

レビラト婚と言われている婚姻があります。
これは主に長兄の死後、弟が兄嫁と結婚することを指すようです(詳しいことは知りません)。
兄に子供がいないような場合、両家の関係と家系を絶やさないことを目的です。

ユダヤ教でも認められている婚姻ですが、復活を信じるキリスト教では禁じられています(すべてのキリスト教が禁じているかまではわかりません)。ちなみに、ルカによる福音書には次のような記述があります。

さて、復活があることを否定するサドカイ派の人々が何人か近寄って来て、イエスに尋ねた。
「先生、モーセはわたしたちのために書いています。『ある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだ場合、その弟は兄嫁と結婚して、兄の跡継ぎをもうけねばならない』と。

ところで、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎えましたが、子がないまま死にました。
次男、三男と次々にこの女を妻にしましたが、七人とも同じように子供を残さないで死にました。最後にその女も死にました。

すると復活の時、その女はだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしたのです。

イエスは言われた。「この世の子らはめとったり嫁いだりするが、次の世に入って死者の中から復活するのにふさわしいとされた人々は、めとることも嫁ぐこともない。この人たちは、もはや死ぬことがない。天使に等しい者であり、復活にあずかる者として、神の子だからである。37死者が復活することは、モーセも『柴』の個所で、主をアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神と呼んで、示している。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ。すべての人は、神によって生きているからである。

日本では、儒教精神が浸透していた武家社会では兄嫁と結婚することは禁じられていましたが、庶民の間では広く認められていました。明治維新後も両家の関係の維持と家系を絶やさない目的で「レビラト婚」が認められており、(不動産権利者確定の目的等で)戦前にまで遡る相続関係図を見ると、何度も婚姻している女性がたくさんいるのに驚かされます。嫁ぎ先の長男が死に、次男が死に…というケースが珍しくなかったのでしょう。

現行民法では、直系血族と3親等内の傍系血族との婚姻を禁止しています。
主に優生学的見地からの禁止ですが、あなたがタイムスリップして100年後の子孫と恋に落ちても(直系血族なので)結婚は認められません(笑)。なお、従兄弟同士は4親等血族になるので結婚が可能です。

面白いのが、民法735条が直系姻族感の婚姻を禁止していることです。
姻族というのは婚姻によって発生した親族関係で、夫や妻の両親などが該当します。
血のつながりがないので優生学的見地からの禁止ではなく、倫理的な見地からの禁止と言われています。

つまり、夫と死別した妻は夫の父とは結婚できないのに夫の兄弟とは結婚できるのです。両家の関係維持と家系を絶やさない目的であれば、亡夫の父と元妻が結婚しても問題ないとは思うのですが、おそらく上下関係に厳しい儒教精神の倫理観によって禁止されたのでしょう。

異母兄妹や異父兄妹との禁じられた恋愛を描いた恋愛ドラマはたくさんありますが、亡夫や亡妻の「禁じれた再婚」というテーマの恋愛ドラマが生まれても不思議ではありません。
なぜなら、恋愛ストーリーの鉄則は「障害があること」だからです。身分や家柄、血のつながりなどが「障害」として有名ですが、「昼下がりの情事」や「プリティ・ウーマン」のように「年齢差」を障害に加えたストーリーも増えています。

これらの作品では、製作者が貧富と年齢差の2つの「障害」を意図していたと私は考えています。義父や義母との年齢差と法的な「障害」…当事者が知らなかった義理の親子関係が潜んでいるようなケースだと案外面白いかも(*^^*)

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荘司雅彦
講談社
2014-02-14

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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