プリント→モバイル。プラザクリエイト、写真市場の変化にM&Aで対応

2017年03月12日 06:00

プラザクリエイト<7502>というとご存知ない方も多いかもしれないが、フォトサービスショップの「パレットプラザ」や「55ステーション」と聞くとお分かりになるかもしれない。同社は2016年9月現在、全国に500店舗近くを出店する企業である。フォトサービスショップを運営する一方で、移動体通信業者のキャリアショップ等も80店舗近く運営しており、リテールビジネスを展開している。しかしながら、同社のM&Aは小売店舗を対象としたものは少なく、むしろメーカーの買収が多い。このM&A戦略から見えてくる同社のビジョンについて考えたい。

【企業概要】米国の写真サービス店を日本に輸入

プラザクリエイトは、大島康広氏が大学在学中の1984年に、写真撮影事業を始めたことに端を発している。カメラマンを志していた大島氏であったが、当時のアメリカで流行していたフォトサービスショップと同じような業態を日本に輸入して、「パレットプラザ」を出店することになる。これが大ヒットをして、FC店による展開も利用して事業を急速に拡大し、一時期は1,000店舗以上を展開した。現在はFC店を含めて500店舗以上を展開していて、同社の主力事業(プリント事業)となっている。また同社は、このプリント事業と並び、移動体通信業者のキャリアショップ等の運営をするモバイル事業を展開しており、プリント事業を上回る売上規模となっている。

【経営陣】大島氏を筆頭に少人数で意思決定

創業者である大島康広氏が1988年の同社を設立して以来、代表取締役社長を務める。53歳。上場企業としては珍しく、取締役は大島氏を含めて計3名しかおらず、少人数の経営陣で迅速な意思決定ができる体制となっている。

【株主構成】大島氏が実質40%程度を保有

中部写真は、大島康広氏がプラザクリエイトの前進として設立した会社である。実質的には個人保有分と併せて40%程度を、大島康広氏が保有していることになる。その他には、会社黎明期から提携をしていた富士フイルムが外部の法人としては筆頭株主となっている。

なお、シンプレス・インベストメント・ビー・ブイとは2016年12月に資本業務提携を解消し全株式を自己株式として取得したため、同社は株主ではなくなっている。

【M&A戦略】デジタル化、モバイル化に対応

このように過去のM&Aを見てみると、プラザクリエイトのM&A戦略には、総合写真企業を目指して製造部門の内製化を進めるとともに、写真のデジタル化への対応を模索した2000年代前半までの時期と、小売店展開に軸足を移し始めた2000年代後半以降の時期があることが分かる。

同社のM&Aは、1996年の上場前後に、感熱紙メーカーのサイカラーと、低価格のコンパクトカメラメーカーのビビターを買収したことからスタートしている。当時ビビターは、米国ウォルマート等の小売店を中心にコンパクトカメラを販売している一方で、日本では展開をしていなかった。既に日本で小売店網を構築していたプラザクリエイトは、ビビター商品の日本展開と、自社店舗の付加価値向上を、このM&Aで目指したことになる。またこれらの2社のM&Aは、写真のデジタル化への対応のために、デジタル技術に強みを持つ会社を傘下に収めるという側面も持っていた。しかしながら、結局、ビビター買収は失敗に終わり、2000年11月に売却することとなる。

また、同年1996年には、米国ピクチャービジョン・インクと合弁で、フィルム映像のデジタル化サービスを提供するフォトネットジャパン(現・ジグノシステムジャパン)を設立している。同社は2002年に上場を果たすこととなり、現在はプラザクリエイトグループとは資本関係はないが、写真のデジタル化に対応した好例といえよう。

このように、写真のデジタル化への対応をM&Aを通じて模索してきたプラザクリエイトであったが、2006年の55ステーションの買収を皮切りに、小売店展開にシフトをしていくこととなる。55ステーションはデジタル化への対応に遅れたことで業績が悪化していた企業で、パレットプラザを運営するプラザクリエイトがノウハウを提供することで立て直しを図ることとなった。

55ステーションのようなフォトサービスショップの買収を進める一方で、2007年以降は携帯電話販売事業のM&Aを通じて、同事業に注力していくことになる。2000年代以降、J-PHONE(現ソフトバンク)の発売を契機にカメラ付き携帯電話が爆発的に普及したことに伴って、その時流に乗る形での参入である。

2007年のエス・エヌ・シーから事業を買収し同事業に参入した後は、自社展開とM&Aを組み合わせて事業展開を図り、現在ではプリント事業の売上高を上回っている。

プラザクリエイトのM&A戦略を2つの時期に分けて見たが、いずれも共通しているのは「写真」をコアとして、写真業界を取り巻く環境の変化に対応するためにM&Aを活用してきたということである。前半期は写真のデジタル化、後半期は写真のモバイル化への対応ということである。

【財務分析】自己資本比率が急低下

ここで、プラザクリエイトの財務の変遷を辿ると、下記のようになっている。

のれん比率を見る限り、M&Aを定期的におこなっているものの、財務への影響は軽微であることが分かる。

一方で、自己資本比率は20%程度にとどまっており、直近2年間だけで10%以上自己資本比率が低下している。これは、プリント事業における既存店のリストラクチャリングとリニューアル、モバイル事業における新店舗の出店が影響している。写真プリント店のリニューアルに伴う休業損失や出店費用が響き、2016年3月期の営業損益は1億3900万円の赤字となった。ただ、一時的な費用計上により自己資本は低下しているが、売上高は大幅に増加しており、今後の巻き返しが期待される。

次に、セグメント別の売上推移を見てみる。

モバイル事業のセグメント情報を公開し始めたのが2011年3月期からであるため、2010年3月期以前は、同事業の売上高はプリント事業との合算表記となっている。

セグメント別売上高の推移を見ると、会社全体での売上高はここ数年間横ばいである一方で、プリント事業が縮小傾向にあることが分かる。これはFC店を中心に、店舗が減少していることに起因している。同事業には商品売上高も含まれるため一概には言えないが、店舗当たりの売上高も減少傾向にあることが推察される。

他方で、モバイル事業は2011年3月期に22店舗だったところが、2016年3月期には80店舗にまで拡大している。期中にも出店をしているので単純比較は難しいが、1店舗当たりの売上高も2011年3月期で1億4500万円程度、2016年3月期で1億3700万円程度と、昨今の厳しい事業環境からすると、堅調に推移していることが分かる。

今後は、プリント事業を現在の規模を維持したままモバイル事業を拡大するとともに、両事業の融合、あるいは新たな事業の獲得・創出を目指していくことになるだろう。

【株価】ソフトバンクと提携を好感し急騰

株価は2014年以降、アップダウンを繰り返しながらも、低調な動きを示している。やはり写真プリント市場の縮小が重荷となっているようだ。

こうした中、2017年2月1日にソフトバンクを割当先とする自己株式の処分で、約4億円を調達すると発表した。今後、ソフトバンクとも連携して写真プリントとの複合型モバイルショップを拡大していく方針で、提携への期待感から株価も一時的に急騰している。自己株処分によってソフトバンクは発行済株式の10%を持つ第3位株主に浮上する。

【まとめ】モバイルも競争激化、次のM&Aに注目

本業であるプリント事業のリストラを進める一方でモバイル事業は拡大傾向にあるプラザクリエイトであるが、モバイル事業も格安端末の登場等により競争環境が激化している。本業への投資で財務的な余力は徐々に失われているが、それ以上に今後の雲行きは決して良くない。これまでも時代の変化に合わせてM&Aを活用してきた同社にとって、M&Aは重要な経営戦略の1つとして考えられ、その動向に注目したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

文:M&A Online編集部


アゴラ編集部より:この記事は「M&A Online」2017年3月10日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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