給与所得控除について考える

2017年03月27日 06:00

写真ACより(編集部)

給与を受給している人たちは、給与総額から「給与所得控除」が控除された金額について税額が算定されます。2016年度分から段階的に引き下げられますが、年収が「1000万円超〜1200万円以下」の人の場合、引き下げた後でも控除額が220万円になります。無条件で、所得の約5分の1の金額について課税を免れるのです。(年収が低くなると、控除の割合はもっと上がります)

実は、この「給与所得控除」には存在理由がはっきりしないという最大の問題があるのです。
実際、サラリーマンが「給与所得控除」を利用しなかった場合、「必要経費」として認められる額は極めて少額になります。スーツや靴、同僚との飲食やタクシー代などは所得税では経費と認められていません。

多くの企業では通勤費を支給していますし、仕事で使うパソコンやスマホの費用も大した金額ではありません(仕事として利用した分に限定すれば、通信費等も微々たるものでしょう)。

「サラリーマンは源泉徴収されて所得税は100%補足されている。それに対して自営業者は多かれ少なかれ脱税をしている。その不公平を是正する措置だ」という、もっともらしい意見があります。
しかし、これは本末転倒の意見です。

自営業者たちが、「俺達は給与所得控除がないから脱税してもいいんだ」とい姿勢を税法が正面から認めるようなもので、真面目に納税している人間がバカを見ることを法が是認する結果となってしまいます。

実際、中小企業や自営業者のところには定期的に税務調査がやってきて、税務署の職員がかなり細かく調査しますし、その間仕事が滞るケースが多いようです。税務署の職員に「給与所得控除分くらいは無条件で経費として認めて下さいよ」とお願いしても無理なのは言うまでもありません。

この「給与所得控除」がもっとも悪用(?)されているのが、個人の法人化です。ご存知の会社を作ってしまうパターンです。

Aさんという個人事業主が、B株式会社を設立して従来通りの仕事をしていたとしましょう。
それまで経費として認められていた「材料費」や「備品代」等がB株式会社の経費として控除されます。その上、Aさん個人がB株式会社の従業員になればAさんの税額は「給与所得控除」を差し引いて算定されます(B社の代表者をAさんの奥さんにして、Aさん自身は雇われ従業員にしているケースが多いですね)。

このように、会社として「経費」が控除された上、個人としても「給与所得控除」を受けるという二重の控除が適用されてしまうのです。「給与所得控除」は無条件ですから、一銭もお金を使っていなくても控除されてしまうのです。

全国の中堅中小企業の多くは、こうやって会社と個人の取り分を調整して「本来支払うべき税金」を免れているのです。その証拠に、日本全国の企業の7割以上は赤字企業でありながら何の問題もなく業務を続けています。

計算がいろいろと面倒だった時代ならともかく、今日ではパソコンで簡単に「実額経費」の計算や集計が可能です。不公平税制の典型である「どんぶり勘定」の「給与所得控除」は早急に廃止すべきだと考えています。

儲けに課税する「法人税」を廃止して、一律「外形標準課税」を適用すれば、タックスヘイブンの悪用もなくなり、公共インフラを使う代償としての税金という本来の姿になると思うのですが…。

婚姻無効
荘司 雅彦
2017-03-16

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年3月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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