意外にもLED照明で深刻な光害が発生

2017年03月31日 06:00

普及中のLEDにまさかの「光害」?(Desipotより:編集部)

不定愁訴や自律神経失調も

白熱電球や蛍光灯に代わり、LED(発光ダイオード)照明が主流の時代になりました。持ちもいいし、消費電力も少ないので、初期投資は高くついても、長い間、使えば安くつくという説明がもっぱらですね。それが、いいことづくめではないのです。「LED照明のお陰で、ひどい目にあっている」という訴えを聞きました。

80歳代後半の私の知人が、最近、高級な老人マンションを買って、入居しました。食事、掃除、洗濯など、身の回りのことを自分で片付づけるのが煩わしく、転居したのです。現役時代は日本有数の総合電機メーカーの最高幹部を務めた方ですから、照明についても詳しく、利用の仕方次第では、「光害で苦しむことになる」と、警告しています。

入居後すぐ、館内のLED光源が多く、まぶしすぎることに気づきました。日本工業規格(JIS)では、用途別に標準的な明るさの目安が設定されているのに、無視されているのです。「マンションの照明を明るくしたほうが見栄えがいいという営業的な判断のようだ。明るいほうが室内が豪華に見える。見学にくる入居希望者に対する効果も狙っている」。

明るすぎる照明で体内時計が狂う

体調が思わしくないので、医師の診察を受けてみました。その結果、「光の害、つまり光害が原因の不定愁訴、自律神経失調症のようだ」という診断になりました。明るすぎる照明で体内時計が狂い、身体が夜を朝と勘違いして眠れず、これがストレスとなり、筋肉痛、朝のむかつきを併発し、やる気もそがれるという日常だそうです。個人差があるにせよ、深刻です。

「夕食の時はサングラスをかけてダイニング室に行く。浴室では照明を消し、脱衣場の明かりを頼りにバスにつかる。さらに最近では、自宅外泊を増やして、慣れるのを待つようにするしかない」。

「マンション側は暗くすると、お年寄りの転倒事故が増えるといって明るさを調整してくれない。逆ですよ。まぶしくて転ぶ人のほうが多いのです」。

「老人向けマンションを選ぶ時は、くれぐれも照明をチェックしたほうがよい。自宅を売り払い、高いマンションを購入したため、我慢している人が多いのではないか」。これが結論です。

目を痛めるブルーライト

問題の照明も白色LEDが犯人、それもブルーライトのようです。照明用の白い光は、青色の光源(ブルーライト)と黄色の蛍光体を組み合わせて作る。ブルーライトは、波長380-500ナノメートルの領域にある青色の可視光線で、可視光線の中では波長が最も短く、強いエネルギーを持ち、角膜や水晶体で吸収されず、網膜まで届き、目を傷めつけるそうです。

パソコンやスマホでも、ブルーライトが悪さをし、目を酷使しないか、防止用のメガネをかけるよう推奨されています。この場合は、個人責任で調節するということでしょう。副交感神経が優位となり、神経をリラックスさせて睡眠に向かうべきなのに、ブルーライトを過剰に浴びると、交感神経が優位となり、不眠に陥るようですね。

省エネ対策のため、白熱電球と蛍光灯は2020年には、国内製造と輸入が禁止され、30年には照明はすべてLEDにするというのが政府の方針です。私の知人は「谷崎潤一郎の名著、陰影礼賛にあるように、照明環境は安全、安心、安らぎ、楽しみにつながるべきものだ」と、指摘しています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2017年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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