小池新党は烏合の衆 !? ネーミングのイメージ形成にご注意

首相官邸サイトより(編集部)

物事の呼び名は、時には決定的なイメージを他人に植え付けるから、注意する必要がある。

毎日新聞の配信記事の見出しに「自民都連会合で首相 都民ファースト『烏合の衆』」とあった。

思わず目を剥いてしまった。

まあ、小池さんの吸引力に引き寄せられてあちこちから人が寄ってきそうな地域政党だから、意地の悪い人からすれば、あれは「烏合の衆」だ、一人一人には何の力もないただの素人の集まりだ、などと言いたくなるのは分からないではないが、しかし「烏合の衆」とはいくら何でもな、これは一言応援のメッセージでも送っておかないとバランスが取れないぞ、となどと思ったのだが、どうもこれはこういう見出しを付けた人に問題があったようだ。

幾つかのまとめサイトに「烏合の衆」という表現が載っていたので、それぞれ記事を確認したのだが、記事の表題には「小池都知事とは『協力して東京五輪成功させたい』」とあり、さらに本文には、「小池都政への協力を強調した。一方で、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」には『急に誕生した政党に都政を支える力はない』と批判を展開。小池氏との距離の取り方に苦心がにじんだ。」とある。

「急に誕生した政党に都政を支える力はない」程度の批判なら、まあ仕方がないかな、と思うが、「烏合の衆」と呼ばれれば聞いた人が黙っていられるはずがない。

都連の最高顧問の人なら、落ちこぼれだ、烏合の衆だなどと言わずもがなのことを言ってしまうかも知れないが、安倍さんがまさかそんなことを、と一瞬心配したのだが、まあ、そこまで心配するほどのことはなかったようである。

名前は、やはり大事である。

あの人はどうもね、ぐらいのことは言ってもいいだろうが、馬鹿だとか、アホなどという言葉は使わない方がいい。
「烏合の衆」というネーミングは、やはり拙い。

その逆を行くのが、テロ等準備罪である。

テロ等の準備行為を処罰するというのであれば、誰だってテロはいけない、テロの準備行為を処罰することでテロを防ぐことが出来るのなら結構なことじゃないか、ということになるだろう。

ネーミングが正しければ、特に問題はないのだが、テロ等準備罪と言いながら、実はどうもそうではなさそうだ、というところに共謀罪関連法案の問題点がある。

かつての共謀罪議論に付着した様々な懸念を払拭するには実にいいネーミングなんだが、よくよく検討すると、なーんだ犯罪の構成要件など殆ど変わっていないじゃないか、ということになってしまう。
看板に偽りあり、などということになってはいけない。

私が現時点でテロ等準備罪という政府推奨のネーミングを使わないようにしているのは、既に何度か述べたように、ネーミングで実態を見誤ることがないようにしようと思っているからである。

悪しからず。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。