【映画評】シチリアの恋

2017年04月26日 06:00

中国・上海の設計デザイン事務所に勤める韓国人男性ジュンホと中国人女性シャオヨウは、大学時代に出会い同じ事務所に就職したことをきっかけに一緒に暮らし始める。結婚の約束までしていた2人だが、ある日、ジュンホが突如イタリアへオペラ留学すると言って、シャオヨウに別れを告げる。あまりに突然で一方的な別れにシャオヨウは、彼への思いが断ち切れず仕事も手につかない。連絡が途絶えてから3ヶ月後、イタリアでジュンホが事故で亡くなったとの悲報が届く。悲しみと驚きで気持ちの整理がつかず自暴自棄になったシャオヨウだが、そこには彼女が知らない、あまりにも切ない秘密があった…。

可憐な女性と恋に落ちた青年が、生涯をかけて彼女を守ろうとする純愛ラブストーリー「シチリアの恋」。「王の男」で人気を博したイ・ジュンギの久しぶりの主演作だ。物語には、大きな秘密が隠されていて、前半は女性(シャオヨウ)の視点から、後半は男性(ジュンホ)の視点から描かれる。前半は、こちらか気恥ずかしくなるような恋愛描写が続くが、シャオヨウは、ジュンホがひとめぼれするのも無理ない、可憐な女性。気は強いが、そのはかなげなたたずまいを見て、彼女を一生守りたいと決心してしまうのだ。シャオヨウを演じるチョウ・ドンユイのとろんとしたまなざしとぽっちゃりした口元はまさに癒し系女優で、くるくると変わる豊かな表情も魅力的である。一方、イ・ジュンギ演じるジュンホには、ある大きな秘密が。詳細は映画を見て確かめてもらうとして、葬儀の理由やシャオヨウを見守る謎の人物の優しいまなざしなどは、非現実的で、いくらなんでもストーリー的に無理がある。さらに、悲しみの極致とはいえ、シャオヨウの態度も分別ある大人のものとは言い難く、共感できない。

そんな雑な展開を強引にひっぱるのは、ロマンチックで一途な愛と犠牲の精神だ。そこにリアリティはなくても、美男美女のカップルが演じる、愛する人の幸せを心から願う切ない想いに、思わず涙…というわけである。それにしてもこの邦題、あまりにもピントがずれているのでは? 確かにジュンホは姉夫婦が住むシチリアに行くし、その風景は美しいが、英語原題をそのまま和訳する方がフィットするように思う。イ・ジュンギは本作で、ダンスや歌声も披露。ファンは必見だ。
【50点】
(原題「NEVER SAID GOODBYE」)
(中国/リン・ユゥシェン監督/イ・ジュンギ、チョウ・ドンユイ、イーサン・ルアン、他)
(一途度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年4月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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