第3弾:高齢者を救う住宅

2017年04月27日 11:10

記事『センサー付きの服が高齢者を救う』で、「衣」の分野で高齢社会に対応した研究開発が進んでいると説明した。『3Dフードプリンタが高齢者を救う』では、「食」の分野での最新の動向を書いた。今日は第3弾として「住」の分野での新しい動きを紹介する。

トイレに入ると自動的に照明がつくことがよくある。これは、人間の存在を感知する人感センサーがトイレに備えられているからである。人感センサーを高齢者が独居する住宅に設置すると、廊下を歩いているとか、居間で座っているといった状態がわかる。その情報を用いれば照明を自動的に点滅させたり、エアコンの設定を変えたりできる。突然玄関から外に出たり、ベッドやソファー以外のところで動かなくなったら、家族・近隣住民・ヘルパー・自治体職員などにアラームを伝えることも可能になる。

服薬のタイミングを知らせ、きちんと薬を取らなかったら注意する技術も開発されている。心拍数や血圧を自動で連続測定し、異常を早期に検知できるようになり始めた。

これらの技術を一般家庭で利用するには、ひとつ大きな問題がある。それは、高齢者の住む住宅がまちまちで、個々に設計し装備していたら大きな費用が掛かることである。費用の高騰を避けるには、USB端子で大抵の機器がパソコンと接続できるように、住宅内に設置する多くの機器がつなぐだけで動くようになればよい。このために、つなぐだけで動く、プラグアンドプレイのための技術標準が求められる。高齢者の状態は老化と共に年々変化するが、プラグアンドプレイの標準があれば、機器の組み替えに容易に対応できるようになる

この種の技術は住宅内だけでなく公共空間でも利用可能であり、それによって高齢者の自立生活を支援できれば社会的費用も節減できる。自立生活支援(Active Assisted Living: AAL)システムの国際標準化活動がIECで始まり、先週北京で開催された会合で、多くの機器がネットワークに接続され住宅環境Connected Home Environmentについても標準化活動を開始すると決議された。

IECサイトにはAALに関する特集ページがある。高齢者だけでなくパラリンピック選手などの障害者にも役立つ技術であると紹介されている。心拍数モニターなどは乳児に対しても利用できる。このように、AALは多様な人々のニーズに応える技術である。

我が国は高齢化先進国として、IECでのAALの標準化活動に積極的に参加している。Connected Home Environmentが高齢者の命を救う日は近い。

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